ティラミス
ティラミス
Credit: Yuki Kai

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イタリア旅行中に食べたティラミス5つ

ティラミス
ローマ(左)、オルヴィエート(右上)、ベネチア(右下)のティラミス
Credit: Yuki Kai

今回のイタリア旅行の食べ歩きミッションは「自分が普段食べているイタリア料理の検証」でした。

その検証ターゲットのひとつがティラミスです。

ローマで3回、ベネチアで1回、オルヴィエートで1回と、まるで本職のパティシエがイタリアに修行に来たかのごとくティラミスを食べて研究してきました。

出発前にイタリアの食事は北と南で違うと聞いていましたが、ティラミスのクリームも同様で、ローマの3店はカスタードクリーム系の黄色でとろり、ベネチアとオルヴィエートはマスカルポーネ系の乳白色でふんわりと色と質感が違っていました。

ローマより北で食べたティラミスのほうが、普段アメリカでお目にかかるものにより近かったです。

さて、わたしの好みは断然ローマのとろりとしたティラミス。

あのティラミスがもう一度食べたくて、アメリカに帰国してから早速同じものを作る実験をスタートしました。

ローマのティラミス再現ポイント

  • クリームが味も見かけもカスタードクリームに近く、とろっとしていて、黄色でつやがある
  • 一人分ずつガラスの容器に入っている(クリームが柔らかいからだと思われる)
  • ビスコッティ・サヴォイアルディはエスプレッソがちょうどよく染み込んでいるけど、ぐしゅぐしゅではない

ティラミスはオーブンを使わないし(本格的にビスコッティ・サヴォイアルディを自分で焼くところから始めるならはなしは別です)、あまり難しいテクニックを使わないデザートです。

クリームを混ぜて、サヴォイアルディと交合に重ねて冷やすだけ。

なので材料の配合がローマのティラミス再現のカギになります。

既存のティラミスレシピ研究・材料編

ティラミスの材料
ティラミス材料
Credit: Yuki Kai

ティラミスレシピを検索すると、本格ティラミス、絶品ティラミス、濃厚ティラミス、直伝ティラミス、本場ティラミス…などなど星の数ほど存在するティラミスレシピですが、英語、イタリア語、日本語サイトのレシピ基本パターンは大体こんなかんじです。

  • マスカルポーネ
  • 生クリーム
  • 砂糖
  • ビスコッティ・サヴォイアルディ
  • エスプレッソかコーヒー
  • ココアパウダーか削ったチョコレート
  • コーヒーリキュール、マルサラ酒、ラムなどのアルコ―ル

上からひとつずつ見て行きましょう。

マスカルポーネ

マスカルポーネはティラミスに欠かせない材料のひとつです。

ローマのティラミスがあまりにもカスタードクリームっぽかったので、実はイタリアのティラミスレシピはマスカルポーネを入れずにカスタードクリームを使う!みたいなご当地的レシピを秘かに期待していたのですが、そんなまがいものレシピはただのひとつも見あたりませんでした(笑)

ですので、マスカルポーネは必須です。

日本のレシピでは時折クリームチーズやカッテージチーズで代用されているようですが、本格的に作りたい方はマスカルポーネチーズを使って。

卵もティラミスに必須ですが、全卵と黄身だけの2通りのバージョンがあります。

黄身はマスカルポーネと砂糖と混ぜてクリームにし、卵白を入れる場合は固く泡立てたものをクリームに混ぜ込んでふんわり軽い口当たりにします。

生クリーム

生クリームはティラミスに入れる派と入れない派にきっぱりわかれるようです。

英語版のイタリア人から教えてもらった本物のティラミス、といったレシピでは、イタリアのティラミスには生クリームは入れないのよ!!!と力強く宣言しているものが目立ちました。

全卵を使うティラミスは生クリームなしが多く、黄身のみを使う場合は生クリームを入れるレシピが多いようです。

実験してわかったことですが、黄身のみを使ったクリームは、冷やした後に締まって口当たりが固めになります。

そこに生クリームを入れることでまろやかに緩めることができます。

泡立てた卵白が入っている場合はその分なめらかなので生クリームを入れる必要がないのだと思います。

ローマのティラミスには生クリームは入っていなかったと記憶しています。

それに、マスカルポーネ自体ものすごい脂肪量なのに、そこにさらに生クリームを投入する必要性がグルメ的にも健康的にも微妙…。

ローマのティラミスレシピ実験では生クリームなしのレシピを追求しました。

コーヒーリキュール、マルサラ酒、ラムなどのアルコール

ティラミスにアルコールは入れても入れなくてもいいという扱いが主流です。

わたしは別に入れなくてもいいかな、と思っています。

ビスコッティ・サヴォイアルディ

(長いので以下サヴォイアルディ)

ケーキとクッキーの中間のようなフィンガービスケット。

これもティラミス必須アイテムです。

日本では手に入りにくいのでしょうか、スポンジケーキやカステラ、ロールケーキ、ビスケット等で代用するレシピが多いようです。

エスプレッソかコーヒー

こちらもティラミス必須アイテムです。

英語サイトでは Italian coffee made in Moka pot (モカポットで入れたイタリアン・コーヒー)と指定するレシピがちらほらありました。

ちなみにモカポットはこれです。

モカポット
Image Source Eric BARBEAU on Unsplash

エスプレッソでなくコーヒーを使う場合はかなり濃いコーヒーにするべきです。

ココアパウダー

ココアパウダーもティラミス必須アイテムですね。

お砂糖の入っていない、カカオの香り高いものを使いましょう。

英語サイトではココアパウダーのかわりに削ったダークチョコレートを使うレシピも多かったです。

味覚的にもティラミスと合うし、見かけがよりお洒落になるかんじ。

わたしはイタリアで食べた5つのティラミス全部がココアだったので、断然ココア派です。

既存のティラミスレシピ研究・作り方編

ティラミスの作り方、基本の流れはこうです。

  1. エスプレッソを入れて冷ましておく
  2. マスカルポーネと卵、砂糖を混ぜ合わせてクリームを作る
  3. サヴォイアルディをさっとエスプレッソにひたし器に並べる
  4. 3の上にクリームをのせる
  5. 4の上にエスプレッソにひたしたサヴォイアルディを並べ、その上にクリームをのせる。
  6. ティラミスがちょうどいい高さになるまでくり返す。
  7. 冷蔵庫で冷やす
  8. 表面にココアをふって仕上げる

ティラミスレシピ実験方法

  1. 良さそうなティラミスレシピをいくつか選び、スプレッドシートに入力
  2. 単位を統一(ヨーロッパ・日本は g グラム表記なのに対して、アメリカは lb パウンドや oz オンス表記。1カップも日本は200cc / アメリカは約236cc )
  3. 材料の割合を知るためにどれかひとつの材料(今回はマスカルポーネ)の数値を全レシピ同じになるように調整
  4. それぞれの材料の平均値を出す
  5. 直感に従い計算値を修正

オタクですねーあはは。

ちなみにふだんのごはんは目分量でテキトウに作ってます。

実験パート1・黄身だけ使うティラミスレシピ

ティラミス
実験パート1で作ったティラミス
Credit: Yuki Kai

最初はローマのカスタードクリーム的なティラミスは黄身オンリーに違いない!と信じて、黄身だけ使うレシピを探しました。

卵白も生クリームもなし。

参考にしたのは下記のサイトのレシピです。

・annamariavolpi.com The Original Tiramisu Recipe from Le Beccherie

・basketslifetravel.com Authentic Tiramisu Recipe from Italy

・alsothecrumbsplease.com Authentic Italian Tiramisu Recipe

結果からお伝えすると、この実験レシピはローマのティラミスレシピとしてはボツ。

作り立ては味、とろみ加減もローマのティラミスとほぼ同じ♪♪に仕上がったので嬉しかったのですが、

冷蔵庫で冷やすとクリームが締まりすぎてレアチーズケーキのような食感になってしまいました。

もともとクリームの水分がマスカルポーネと卵黄分のみで少ないところに、冷蔵庫で冷やす間にサヴォイアルディがクリームの水分を吸収するので、固いクリームになったのだと思います。

次の実験で考慮に入れるポイントです。

ただ、これはこれで美味しく好評でした。

クリームがしっかりするので、個別のグラスで作るのではなくて、シート型の容器で作って切り分けるタイプにすると、きれいな長方形にカットできて、お皿の上でもその形を保持できるかもしれません。

いつもティラミスを切り分けた後にだれだれになってしまうとお悩みの方のお役にたつかもしれないので、参考までに黄身オンリーのティラミスレシピです。

作り方は下の再現ティラミスレシピとほぼ同じで、卵白を泡立ててクリームに混ぜるステップがないだけです。

  • エスプレッソ 3/4カップ (冷ましておく)
  • 砂糖 大さじ8
  • 卵黄 5個
  • マスカルポーネ 16オンス (454g) (室温に戻す)
  • サヴォイアルディ 12本~(容器により変わります)
  • 純ココア (仕上げ用)

実験パート2・卵白も泡立てて使ってみる

最初の実験での注目点、クリームの固さ対策に、今度は卵の白身も加えてみることにしました。

とはいえ、カスタードクリームっぽさを実現するために、黄身多めのバランスはキープしたいところ。

もう一度ティラミスレシピを検索して、卵白も使うレシピからいくつか選び、計算して自分の数字を決めます。

参考レシピ:

・kitchenjoyblog.com Authentic Italian Tiramisu

・curiouscuisiniere.com Authentic Italian Tiramisu

・recipesfromitaly.com Tiramisu Authentic Italian Recipe

・fifteenspatulas.com Tiramisu

・サヴォイアルディの袋に印刷されていたレシピ

今回は3人で1回で食べきれるくらいの量になるように、マスカルポーネを8オンス(=227g)で設定。

手に入れやすいマスカルポーネ(トレジョで買うことが多いです)が1パック8オンス入りなのでちょうど都合のいい量です。

作り方は卵白を泡立てるステップが追加されただけで、あとは最初の実験のときと変わりません。

結果は大成功!

ではローマのティラミス再現レシピをご紹介します。

ローマのティラミス再現レシピ

  • エスプレッソ 1/2カップ (冷ましておく)
  • 砂糖 大さじ4
  • 卵黄 3個 
  • マスカルポーネ 8オンス (227g) (室温に戻す)
  • 卵白 1.5個 (2個分泡立てて3/4使う)
  • 塩 ひとつまみ
  • サヴォイアルディ 6本~(容器により変わります)
  • 純ココア (仕上げ用)
ティラミスの材料

作り方

1.卵黄と砂糖を合わせて混ぜる。泡立てる必要はないが砂糖が溶けるように。

卵白 卵黄 砂糖

2.マスカルポーネに1の卵黄を少しづつ加えて混ぜる。全部混ざってから混ぜすぎるとクリームがゆるゆるになりすぎるのでほどほどに。

マスカルポーネクリーム

3.水分・油分のついていない清潔なボールに卵白と塩ひとつまみを入れて、ミキサーで角が立つまで泡立てる。

泡立てた卵白

4.3の卵白を3/4だけ2のクリームにさっくり混ぜ込む。(卵白を無駄にしたくない方は2個分全部入れても大丈夫)

ティラミス クリーム

5.サヴォイアルディをエスプレッソにさっと浸し、グラスの大きさに合わせてちぎって入れる。浸しすぎるとぐしゅぐしゅになるので表面が湿る程度に素早く。エスプレッソをサヴォイアルディの中心まで完璧に染み込ませる必要はなく、ティラミスを食べたときに、エスプレッソの風味がアクセントになる程度表面だけに染み込んでいればよい。 

6.5のグラスに4のクリームをスプーンですくっていれるか、絞り出し袋を使って絞り出す。

7.5と6をティラミスがちょうどいい高さになるまで繰り返す。

ティラミス

8.冷蔵庫で2時間くらい冷やし、仕上げにココアをふりかける。

ティラミス
ティラミス
Credit: Yuki Kai

冷やしている間にサヴォイアルディがクリームの水分を吸ってふっくらします。

だけど、冷やさずにすぐ食べるのもクリームがとろりとしていて美味しいので、待てない人は待たなくていいですよ^^

ココアがドライなほうが好きなひとは食べる直前にふりかけてください。

しっとりしたココアが好きなひとは冷やす前に。

おわりに

いかがでしたか?

好きなお菓子を追求するのも、旅の途中で食べた美味しいものを再現するのも楽しいですね!

また実験して発見したことをみなさんにお伝えできたらと思います。

旅で出会った美味しいものや、アリゾナの自宅で作っているごはんをこのブログのインスタ @yuki_shokudo に投稿しています。よかったら遊びにきてくださいね?

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