わたしが40歳を過ぎてアリゾナ大学を卒業し、アメリカで就職したときのことを4回にわけてお伝えしています。
3回目の今日は、オファーレターをもらったもののオファーされた額が少なかったときのおはなしです。
ジョブフェアからオファーまで3か月
ジョブフェアが10月下旬で、電話面接が年末、2度目の面接が1月、と採用プロセスはかなりゆっくり進んでいました。
こんなかんじで採用プロセスが長くかかるのはわりとよくあることです。
風通しの良い会社ほど採用プロセスが早く、古めかしい体質の会社ほど時間がかかるというのがわたしの個人的な印象なのですが、
一方で採用プロセスが早すぎる会社は社員の回転が早く何か問題があるところが多い気もしていますので、ケースバイケースですね。
面接は応募するあなたが選ばれるかどうかだけでなく、実はあなたにとっても、その会社があなたに合った働く価値のある組織なのかを見極めるチャンスでもあるので、面接の際は余裕を持って会社を観察できるといいですよね。
オファーレター
さてさて、1月末の3度目の面接で初めて生上司に対面したのですが、すでに何度もやり取りしていたのと彼の明るい人柄で、なんだか昔から知っているようなかんじでまったく緊張しませんでした。
なにしろ、すでにオファーを出すと言われていたので、この3度目の面接はとても気楽だったのを覚えています。
工場建設地の近くのホテルロビーで、最初にオファーレターをもらい、会社の規約や保険のことなどを説明してもらい、仕事のさわりでどんなデータを扱っているかなどを軽く見せてもらいました。
わたしは長い就活中にデータベースの勉強もしていたので、膨大なデータにオタクらしくときめきました。
プログラミングはする必要がなさそうでしたが、わたしが希望していた数学を使えそうな仕事内容で良いかんじです。
嬉しかったのですが、ひとつひっかかることがありました。
それは…
お給料がかな~り低かったのです。
自分の職種の初任給の目安を調べてきていたのですが、
う~ん、
どこからどう見ても少ない。
でも、お給料がちょっと低いですねみたいなことを果たして言っていいのか自信がなく、わたしはその面接では金額のことに触れませんでした。
もちろんオファーレターにその場でサインをする必要はなく、家に持って帰って貰った書類を全部確認したらサインして送り返せば良いということでしたので、そうしますと言ってその場を後にしました。
ちなみに給料の相場は検索すればすぐにわかりますよ。
たいていグラフと一緒に最低額、平均額、最高額などのデータを見ることができます。
わたしがオファーされた額は、ギリギリその職種の給与幅に入っているとはいえ、ほぼ左端のカーブが終わるあたりで、つまり最低額に近いものでした。
う~ん。
税金を引かれて、401Kや保険料を天引きされた後いくらになるのか、税率などを調べてエクセルシートで計算してみます。
う~~ん。
ここから家賃や生活費を払ったらいくら残るのか…。
う~~~ん。
かなり少ないな…。
これって、カウンターオファーしたほうがいいのかしら…。
検索すると、仕事のオファーを受けたけど給料が少ないときはカウンターオファーしてもいいのか?というそのものズバリな質問がたくさんヒットしたのでひとつづつ読んでみました。
カウンターオファー
色々なケースを読んでみると、人事の仕事をしているという人たちからの返答にカウンターオファーしたほうがいいというものが多く、わたしは勇気を出してカウンターオファーしてみることにしました。
具体的にいくらアップしてほしいとお願いしたかは忘れてしまいましたが、これくらいは欲しいという落としどころを設定して、それより多い額をお願いしましたね。
で、単純にこのサラリーじゃ少なすぎるからでは芸がないし、かといって悲しいことに交渉材料になる実績もないので、ここはアナリストらしくきっちり計算しましたアピールのために何セント単位まで希望額を出し、見た目ヘンな額を勇気を出して送信。
今となっては自分のために正しいことをしたと自信を持って言えますし、もっと要求するべきだったと思いますが、そのときはやっぱり少しビビッてました。
身の程知らずに何言ってるんだ、と思われそうとか、果てはオファー撤回されてしまうかも、とか心配していたのです。
メールを送ったらマネージャーからすぐに電話がかかってきました。
当然何セント単位まで細かく指定したところから突っ込まれ、額の根拠を聞かれたので、税金や保険料を逆算して生活に必要な額を出したらこの額になりました、と説明しました。
計算の根拠のエクセルシートもありましたが、そこまでは要求されませんでした。
電話の歯切れはあまり良くなかったので正直心配でしたが、10分後くらいでしょうか、彼からメールが来ました。
おーっ!
このメールを開けるのはドキドキしましたね。
給料上げますという良い知らせかもしれないし、
何言ってんだ、冗談も休み休み言え!と怒ってるかもしれないし、
最悪、他の候補者でその給料でもいいという人にオファーすることにしました、Thank you for applying とかかもしれない。
むむむ。
アタッチメントをクリックすると…
それは新しい額が入ったオファーレターでした!
金額はわたしの言い値よりは少ないけれど、落としどころよりは多い額です。
わたしはオファーレターにサインしたものをスキャンして返送しました。
すると採用日をいつにするか確認する電話がかかってきました。
「いつから働ける?」
「明日にでも。」
最初の1週間はマネージャーと一緒にウィスコンシン州の当時の本社に出向いて研修ということで、翌週の月曜日から働くことになりました。
ほどなくシカゴ行きのチケットが送られてきて、事が進むスピードに感心したのですが、フライトが…ツーソンを朝7時台に出て、LA乗り継ぎ、待ち時間が…5時間?
チケット確認の電話があり、待ち時間長いのしかなくてごめんねと謝られましたが、たぶん一番安いチケットで飛ばないといけない決まりでもあったのでしょうね…。
本社はウィスコンシンといってもイリノイとの州境に近いところにあるそうで、シカゴ空港で待ち合わせてそこからレンタカーで移動するとのこと。
上司は別の州からシカゴ入りです。
入社1日目に上司とシカゴで待ち合わせか…
なんだか面白くなりそうな予感がしてきました。
次回最終回につづく
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アメリカで就職したときのはなし(全4話)