「消費期限」と「賞味期限」の違い、ご存知ですか?
この記事では、消費期限と賞味期限について、日本とアメリカの期限表示とその意味を行政機関の資料をもとにまとめました。
消費期限と賞味期限の表示の意味を押さえておくと、食品を美味しく安全にいただけるだけでなく、食品の無駄を減らすことにもつながるかもしれません。ぜひ読んでみてくださいね。
この記事はこんな方におすすめ
・消費期限と賞味期限の違いがイマイチ分からない方
・アメリカに住んでいるけど、食べ物に表示されている日付がちんぷんかんぷんな方
ピンポイントで知りたいことがある方は、下の目次の読みたい項目をクリック
日本の消費期限と賞味期限
消費期限
日本の加工食品に表示されている「消費期限」は、指定された方法で保存した未開封の食品を安全に食べることができる期限です。
お弁当や調理パン、食肉など、傷みやすい食品に表示されています。
消費期限は「日付を過ぎたら食べない方がいい期限」と覚えておくといいですね。
賞味期限
「賞味期限」は、指定された方法で保存した未開封の食品を「美味しく食べることができる期限」です。
スナック菓子、缶詰、インスタントラーメンなど割と保存のきく食品に表示されています。
賞味期限を過ぎた食品は、日付を過ぎても食べられることがあります。
期限を過ぎた食品はどうする?
買ってきた食べ物を冷蔵庫に入れておいたら忘れてしまって、気づいたら期限を過ぎてしまっていた経験、みなさんにもありませんか?
期限を過ぎた食品は、その期限が「消費期限」か「賞味期限」かで取り扱いが変わってきます。
消費期限
消費期限を過ぎた食品は、品質が落ちてしまっていることがあります。
安全性に問題がある可能性があるので、消費期限を過ぎた食品は食べないほうがよいでしょう。
賞味期限
賞味期限を過ぎた食品は、風味は落ちているかもしれませんが、品質には問題がないことがあります。
ですので、賞味期限が切れているからといって必ずしもすぐに捨てなければいけないわけではありません。
見た目やにおいなどから食べられるかを判断し、調理方法を工夫すると食品の無駄を減らすことにつながります。
とはいえ、疑わしい場合は、無理して食べずに処分し、安全性を優先することをおすすめします。食べる前に以下の項目をチェックしてみましょう。
食べられるかどうかのチェック項目
- 見た目(色、形、カビ、虫、袋や缶などの変形、傷、錆など)
- におい
- 手ざわり
- 味
日本の消費期限と賞味期限まとめ
・「消費期限」は日付を過ぎたら食べない方がいい期限。消費期限を過ぎた食品は食べないようにしましょう。
・「賞味期限」は美味しく食べられる期限。日付を過ぎても食べられることがあるので、むやみに捨てずに、まずは食べられるか確認してみましょう。
・消費期限と賞味期限は未開封で、指定の保存方法で保存した場合の期限です。「冷蔵庫で」「直射日光を避けて」「湿気のない場所で」など、パッケージに表示されている方法で保存して美味しさを長持ちさせましょう。
アメリカの消費期限と賞味期限
アメリカの期限表示は、食品会社によって様々な表現が使われています。次のような単語から始まるものが一般的です。
- Best
- Use
- Sell
- Freeze
- Expire
Best から始まる表示
Bestで始まる表示でよく見かけるのは次の4つです。
- Best By
- Best Before
- Best If Used By
- Best If Used Before
Bestで始まる表示は「この日までに食べると味や質がベストな状態」という日付です。日本の賞味期限にあたると考えてよいでしょう。
Use By と Use Before
Useで始まる表示には「Use By」と「Use Before」があり、「この日までに使うことをおすすめします」という日付です。
2021年3月の段階では、乳幼児の粉ミルクに表示される「Use By」以外はこの日を過ぎたら廃棄しなければいけないという意味ではないので、「Use By」と「Use Before」も日本の賞味期限と同じニュアンスと考えていいでしょう。
乳児用粉ミルクの Use By
この記事でご紹介しているアメリカの期限表示は、基本的に食品業者には連邦法上の表示義務はありませんが、乳児用粉ミルク(Infant formula)は例外で、表示が義務付けられています。
粉ミルクには法律上「Use By」の表示が義務付けられていて、「Use By」の日付を過ぎた粉ミルクは、赤ちゃんに与えるのもお店で売るのも慎むべきとされています。
ですので、粉ミルクを買うときには必ず「Use By」の日付を確認し、期限を過ぎたものは使わないようにしましょう。
Sell By と Sell Thru
「Sell By」や「Sell Thru」などのSellで始まる表示は、消費者向けというよりは在庫管理をする店舗向けの日付で、「店舗で販売するのはこの日までにしてください」という意味です。
ですので、この日を過ぎたら食べてはいけないという意味ではありません。
Freeze By と Freeze Before
「Freeze By」や「Freeze Before」は「この日までに冷凍するとベストな状態を保てます」という日付です。肉や肉の加工品のパッケージでよく見かけます。
Expires OnとEXP
「Expires On」や「EXP」は「この日に期限が切れます」という日付です。
文字通りに取れば、その日以降はその食品は食べない方がよいということになりますが、法律で廃棄するべきと決まっているわけではありません。
ただし、薬の場合は、効き目が悪くなっていたり変質している可能性があるので、この日付から使うべきではありません。
アメリカの期限表示のトレンド
アメリカの期限表示は種類が多いので、消費者が表示の意味をよく理解せずに期限が過ぎた食べ物を捨ててしまい、食べ物が無駄になっているケースが問題になっています。
このことから、FDA(食品医薬品局)は食品業界に「Best If Used By」を「その期限を過ぎると味や質は落ちるかもしれないけれど食べるのは差し支えない」期限として使い、消費者にわかりやすく食品の無駄の出にくい表示をするように勧めています。
とはいえ、食品業界には連邦法上「Best If Used By」と表示する義務はありませんので、今後も引き続き色々な表示が使われる可能性は十分あります。
卵の表示
卵の期限表示は州の法律によって違います。
たとえば、写真の卵のパッケージには左側に「ARIZONA BEST BY」、右側に「CALIFORNIA SELL BY」と、アリゾナ州とカリフォルニア州の法律にもとづいた表示が入っていますね。
どちらも日付は同じで文言が違っているだけなのですが、このように、アメリカでは州ごとに決まりが違っていることは食品に限らずよくあります。
期限を過ぎた食品の取り扱い
粉ミルク以外の食品は期限を過ぎても問題なく食べられる可能性があります。
日本の賞味期限切れの食品のケースと同様に、やみくもに捨てる必要はなく、食べられるかどうかを自分で判断し、調理方法を工夫すると食品の無駄を減らすことにつながります。
上記「食べられるかどうかのチェック項目」も参考にしてみてください。
日本とアメリカの消費期限と賞味期限まとめ
国 | 表示 | 意味 | 備考 |
🇯🇵 | 消費期限 | この日を過ぎたら食べない方がいい期限 | 日付を過ぎたものは食べない |
🇯🇵 | 賞味期限 | 美味しく食べられる期限 | 日付を過ぎても食べられることがある |
🇺🇸 | Best By Best Before Best If Used By Best If Used Before | この日までに食べると味や質がベストな状態 | 賞味期限と同じ |
🇺🇸 | Use By Use Before | この日までに使うことをおすすめします | 賞味期限と同じ |
🇺🇸 | Use By (粉ミルク) | この日を過ぎたら使ってはいけません | 消費期限と同じ |
🇺🇸 | Sell By Sell Thru | 店舗で販売するのはこの日までにしてください | 日付を過ぎても食べられることがある |
🇺🇸 | Freeze By Freeze Before | この日までに冷凍するとベストな状態を保てます | |
🇺🇸 | Expires On EXP | この日に期限が切れます | 日付を過ぎても食べられることがある |
🇺🇸 | Expires On EXP(薬) | この日に期限が切れます | 薬はこの日に廃棄する |
参考
消費期限と賞味期限 農林水産省
加工食品の表示に関する共通Q&A (第2集:消費期限又は賞味期限について)厚生労働省・農林水産省
食品期限表示の設定のためのガイドライン 厚生労働省・農林水産省
FDA Letter FDA(食品医薬品局)
Confused by Date Labels on Packaged Foods? FDA(食品医薬品局)
Food Product Dating USDA(米国農務省)
写真
Egg photo by Wokandapix from Pixabay
Fridge photo by Ello on Unsplash
Grocery store photo by Artem Beliaikin from Pexels