ウフィツィ美術館は、フィレンツェに行ったらぜひ足を運んでほしい素晴らしい美術館です。
この記事では、ウフィツィ美術館所蔵の名作の中から特に見逃してほしくない作品10点をご紹介します。
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ボッティチェッリ「プリマヴェーラ」と「ヴィーナスの誕生」
まずは、あなたに絶対に見逃してほしくない作品をふたつ。
サンドロ・ボッティチェッリ(Sandro Botticelli)のテンペラ画、「プリマヴェーラ(Primavera)」と「ヴィーナスの誕生(La Nascita di Venere)」です。
ウフィツィ美術館にはほかにもボッティチェッリの作品が所蔵されていますが、その中で群を抜いて有名な2点ですね。
常に大勢の人が作品の前にいますし、熱く語るガイドさんつきのツアーグループがいるとなかなかどいてくれませんが、
そこは辛抱強く待って、作品の正面に陣取ってじっくりゆっくり見てほしいです。
ちなみに、わたしは大きな部屋の壁一面くらいのサイズだと思っていたので、意外に小さめだったのが印象的でした。
惚れ惚れする作品です。
Room 10 – 14 に展示されています。
ボッティチェッリ「カステッロの受胎告知」
ボッティチェッリの作品からもうひとつ。
「カステッロの受胎告知」(Annunciazione di Cestello, 1489, Sandro Botticelli)です。
ボッティチェッリの描く女性の顔が美人で好きなのですが、この絵のマリア様も透き通る美しさで惚れ惚れします。
そしてこの作品は、額のデザインも美しい。
あなたがわたしのようなボッティチェッリファンなら、ウフィツィ美術館はたまらない場所だと思いますよ!
(ウフィツィ美術館で新たにボッティチェッリファンになられた方へ:スコットランド・ナショナル・ギャラリー所蔵の「眠る幼児キリストを礼拝する聖母」もそれは素敵です。もしエジンバラへ行かれる機会があればおすすめです。)
フィオレンティーノ「奏楽天使」
ロッソ・フィオレンティーノ作「奏楽天使」(Angelo musicante, 1521, Rosso Riorentino, Giovan Battista di Jacopo, detto)。
この天使、本当に愛らしいですよね。
ウフィツィ美術館が緋色の壁にこの「奏楽天使」を掛けているのはお見事としか言いようがありません。
大きなリュートを一生懸命抱え込んで、そのふっくら小さな手で音楽を奏でる天使。
見ていてほんわかしてくるふんわり美しい天使像です。
Room 60に展示されています。
マルティ-ニ/メンミ「受胎告知」
シモーヌ・マルティ-ニ/リッポ・メンミ作「受胎告知」(Annunciation with St. Margaret and St. Ansanus, 1333, Simone Martini e Lippo Memmi)。
金をこれでもかと使ったまばゆいテンペラ画「受胎告知」。
ゴシック期シエナ派の代表的な画家シモーネ・マルティーニと義理の兄リッポ・メンミの作品です。
中央左、平和の主張であるオリーブの枝を持つ大天使ガブリエルが、マリア様の右耳に囁くのは
Ave gratia plena dominvs tecvm
Hail, full of grace, the Lord is with thee
アヴェ、恵みに満ちた方、主はあなたとともにおられます。
元々シエナ大聖堂のために描かれたこの絵、
本来の受胎告知の構図では、大天使ガブリエルが持つ花はマリア様の純血を示す百合なのですが、この絵ではオリーブの枝を持っていますね?
これは、百合の花が当時シエナが敵対していたフィレンツェの市の花だったので、百合の花のかわりにオリーブの枝が描かれているんです。
百合は中央後方に飾られています。
とにかく物凄いオーラを放つ作品です。
ぜひ立ち止まって細部までじっくり見てみてくださいね。
なにを失礼なことを!と叱られるのを覚悟で、私見を…。
マリア様の表情が「なんですって!」と不機嫌極まりなく見えるのです…。口元なんてへの字です…。(ごめんなさい)
世に数多存在する「受胎告知」のマリア様は多種多様な表情で描かれていますので、比べてみるのも面白いですよ。
色々な意味で強烈な印象に残った作品です。
Room 3 に展示されています。
ダ・ヴィンチ「マギの礼拝」
レオナルド・ダ・ヴィンチ作「マギの礼拝」(Adoration of the Magi San Donato in Scopeto, 1482, Leonardo da Vinci)。
この「マギの礼拝」は「東方三博士の礼拝」とも呼ばれ、未完の傑作として名高い作品です。
5年以上修復に時間をかけてついに昨年ウフィツィ美術館に戻ってきたこの作品、修復の様子もあわせてご覧になれます。
Room 85に展示されています。
ティツィアーノ「ウルビーノのヴィーナス」
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ作「ウルビーノのヴィーナス」(Venus known as the “Venus of Urbino”, 1538, Tiziano Vecellio)。
ヴェネツィア派の巨匠、ティツィアーノ・ヴェチェッリオ。
ふくよかで輝かんばかりのこのヴィーナスも美人ですね~。
ヴェローナ大聖堂(Duomo di Verona)に飾られていたティツィアーノの素晴らしいフレスコ画「聖母被昇天」(Cattedrale Santa Maria Matricolare )を思い出しつつ眺めました。
モナコ「東方の三博士の礼拝」
ロレンツォ・モナコ作「東方の三博士の礼拝」(Adoration of the Magi, 1420-22, Lorenzo Monaco)
この「東方の三博士の礼拝」を見ていて、はっ!!!とひらめいたことがあります。
それは、ヴェネツィア~トスカーナ地方一帯に見られるカラフルな家の壁の色は、この絵をはじめとする宗教画の色を基調にしているのではないかと。
ピンク、緑、青、そして黄…トーンが同じだと思いませんか?
ポッライオーロ/ボッティチェッリ「七元徳」
ピエロ・デル・ポッライオーロ/サンドロ・ボッティチェッリ作「七元徳」(The Seven Virtues, Piero del Pollaiolo and Sandro Botticelli)。
「七元徳」(The Seven Virtues)は、カトリック教会の7つの徳
【知恵、勇気、節制、正義、信仰、希望、愛】
を表す7枚のパネルです。
左端の勇気(Fortitude)がサンドロ・ボッティチェッリ作、ほかの6枚はピエロ・デル・ポッライオーロ(Piero del Pollaiolo)作です。
このパネル、もの凄いエネルギーを発しているかのような強烈なインパクトでしたよ。
…そして見逃した痛恨の名作。
ダ・ヴィンチ「受胎告知」
レオナルド・ダ・ヴィンチ作「受胎告知」(Annunciation, 1472, Leonardo da Vinci )。
この「受胎告知」は日本のメディアでもよくとりあげられるのでご存知の方も多いのでは?
マルティ-ニ/メンミ「受胎告知」ではオリーブの枝を持っていた大天使ガブリエルが、この絵ではお約束どおり百合の花を持っていますね。
この超有名な作品、わたしは見逃しました(涙)
皆さまはお見逃しなく。
Room 79に展示されています。
ウフィツィ美術館の窓から眺めるポンテ・ヴェッキオ
ウフィツィ美術館の窓からポンテ・ヴェッキオが見えますよ。
この日はどしゃ降りだったので川が緑に濁ってますが、晴れの日にはきっと青空と橋が水に反射していい写真が撮れそうな気がします。
写真好きな方、おすすめですよ~。
ウフィツィ美術館チケット
わたしが美術館に行ったのは2018年6月の週末午後4時前で、特に待たずにチケットを買って入館できました。
その日、チケットは€24(入場料€20+予約手数料€4)でした。
2番のドアからチケット売り場に入ってチケットを買い、指定の時間に1番のドアから美術館に入ります。
普段は長い列になるようですので、確実に行く日時がわかっていればオンラインで予約しておくのがおすすめです。
以下は2020年5月31日現在の美術館ウエブサイトに記載されている内容です。
最新の情報はウフィツィ美術館のINFOウエブページ で確認してください。
- 休館:月曜日、1/1、12/25
- 8:15~18:50
- 入場料:3月~10月 €20 割引€10 11月~2月 €12 割引€6
- 予約手数料:€4
- 18歳未満は無料。12歳未満は大人の付き添いが必要です。
- COVID-19によりイタリア全土の美術館は現在閉館しています。
おわりに
いかがでしたか?
ウフィツィ美術館、お時間の限られている方は、この記事とウフィツィ美術館 artwork のウエブサイトを参考に、前もってどれを見たいかを決めておくといいですね。
お時間のある方はぜひゆっくり時間をかけて、隅々までじっくり観て楽しまれてはいかがでしょうか。
素晴らしい美術館です。楽しい時間になりますように。
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