先日フランスに遊びに行ってきました。
最後の数日をパリで過ごしたのですが、宿泊先のアパートが、あ~もうこのまま住もうかな?という可愛さでたまらなかったのです。
今日は、そんなアパートで過ごしたパリの下町、バスティーユでの時間について綴ってみます。
リヨンからパリへ
前泊地はスイスのヴィルダースヴィル(Wilderswil)でした。
そこから車でリヨン空港まで行き、レンタカーを返して電車でパリに入りました。
リヨンからパリへの移動はリヨン・パールデュー駅 (Lyon-Part-Dieu) を利用するのが一般的なのですが、リヨン・パールデュー駅から30分ほど離れたリヨン空港駅からOuiGoという電車を使えば一人20ユーロとなぜか格安だったのです。
この電車で問題なくパリ・リヨン駅(Paris Gare de Lyon)に到着しました。
宿泊先はバスティーユで、パリ・リヨン駅から歩ける距離だったのですが、荷物があったので駅のタクシー乗り場からタクシーに乗って宿泊先へ向かいました。
バスティーユ
バスティーユといえばフランス革命に登場するバスティーユ監獄があった場所ですね。
監獄なんていうとおどろおどろしい暗いイメージですが、実際は豪勢な食事が出され、図書館、遊戯室など整った環境で服装も自由だったらしいのです。
監獄はフランス革命後に解体され、バスティーユ広場(Place de la Bastille)になりました。
そこにナポレオン・ボナパルトが象の銅像を建てることにしたのですが、広場に石膏モデルまで作られたものの銅像が完成することはありませんでした。
その後、1846年に現在の頂上に天使がポーズする7月革命記念碑が建ちました。
写真右側の近代的な建物が歌劇場オペラ・バスティーユです。
記念碑をぐるりと囲むようにラウンドアバウトになっていて、わたしが記念碑の側を通りすぎるときにはいつも交通量が多く渋滞していました。
このバスティーユ広場から放射状に道路が伸びています。
そこから街中に小路が複雑に入り組み、あなたが普段格子状の理路整然とした街に慣れているなら、地図なしでは迷ってしまうかもしれません。
お洒落なカフェ、バー、クラブなどが並ぶ賑やかなエリアと、庶民的なスーパーや垢抜けない地味なお店なども軒を連ねる生活圏のエリアが混在する街というのが、わたしのバスティーユの印象です。
そんなバスティーユに、パリでの拠点となるアパートがありました。
アメリの世界?可愛すぎるアパート
タクシーを降り、暗証番号を打ち込んでブルーグレイの大きな重いドアを開けると、緑豊かな中庭が奥に広がっていて、その両脇にアパートが建っています。
アパートと言っても高層住宅ではなく、ロフトつきの一戸建てが横並びにつながっているかんじです。
アメリカではアパートに対してコンドと呼ばれるタイプです。
わたしは普段サボテンだらけの緑が最小限しかないところに住んでいるので緑に飢えているとはいえ、壁に大げさにツタが絡み、薔薇が咲き乱れる緑いっぱいの中庭が一目で気に入りました。
予定より早く到着したので大家さんに電話すると、彼女は今こちらに向かっているので中庭のベンチに座って待っていてくださいとのこと。
中庭がチャーミングなだけでなく、なんとフワフワ猫ちゃんまで登場して…猫好きのわたしにはパラダイスです?
可愛い猫ちゃんをなんとか手懐けようとがんばっていると、中庭に入ってきたときすれ違いざまに挨拶したおじいさんに話しかけられました。
が、フランス語なのでわからず…。
「フランス語話せる?(とおじいさん、英語)」
「いいえ…。」
するとおじいさんはアパートのひとつを指さしながら、大家さんの息子がここに住んでるから彼に言えば大家さんのかわりに鍵を開けてくれるよと英語で言いつつ、ドアをノックしました。
ドアを開けたのは30代くらいの男性でした。
おじいさんがお客さんが来てるよみたいなことを言ってくれていたようでしたが、同時に大家さんの女性も登場。
おじいさんは、一件落着といったかんじで自分のアパートに戻っていったのです。
親切なおじいさん。
そしてアパートの住人たちのこのやりとりは…なんだか映画アメリの世界ではないですか?
大家さんの女性は英語堪能で、説明しながら鍵を開けてくれたのですが、ガラス越しに見える部屋が、可愛い。
リビングの奥のキッチンには、高級ではないけどアンティークっぽいフレンチ感あふれる食器や調理器具が並び、まるで雑貨屋さんのディスプレーのようです。
テーブルは大家さんが手入れしている最中ということで、グレーの布がかけられていましたが、それすらいいかんじ。
大昔わたしが中高生だったときに読んでいたオリーブという雑誌の世界そのまんまです。
ちなみに、オリーブというのはあなたがわたしより年下ならきっと知らない旧き良き時代のファッション雑誌です。
リセエンヌをお手本にしたファッションやライフスタイルを基調としていて、当時わたしは隅から隅まで熟読したものです。
ああ?
ギシギシいう階段をのぼるとロフトになっていて、ベッドが置いてあります。
嬉しかったのは服をかけるハンガーが山ほどあったこと。
泊まる場所が変わるごとに毎回すべてアンパックするわたしには嬉しい限り。
住めるわ…っていうか住みたい…。
すっかり幸せな気持ちでアパートに落ち着いたのでした。
バスティーユのアパート・ライフ
幸せのパン屋さん
翌朝、早速朝ごはんのパンとコーヒーを買いに外に出てみました。
まずはアパートから歩いて1分のここ。
タルト類が充実しています?
他にもお店がありそうなので少し歩いてみると、さらにもう一軒。
最初に見たお店より品数が多くコーヒーのお持ち帰りもあるので、ここで買うことにします。
ちなみにパンは安くて美味しいけど、テイクアウトのコーヒーはパンと比べると割高なので、長い滞在のときはお店でコーヒー豆を買ってアパートで淹れるのが断然経済的かも。
パンはどれも美味しそうで本当に迷いましたが、男子ふたりが風邪で調子が悪かったので、栄養ありそうなキッシュ3種類とペイストリーを選びました。
キッシュの写真を撮り忘れましたが、定番キッシュロレーヌと、赤ピーマンやズッキーニなど夏野菜満載なキッシュ、そしてほぐしたサーモンがぎっしり入っているもの、どれもボリュームたっぷり。
チーズが多すぎず、卵との割合がちょうど良いかんじで、美味しかったです。
リヨンもパリも、朝のパン屋さんは出勤途中に朝ごはんを買っている人や、バゲットを買って家に持って帰る人など老若男女どこも行列ができています。
それにしても、ケーキ類も充実しているパン屋さんに入るのは楽しいですね。
わたしは小学生の頃からお菓子作りが大好きで、家にまだオーブンがなかったころからお菓子作りの本を繰り返し読んでいたのですが、
フランスでお菓子作りの修行をしてきた人が書いた本に出てきたお菓子が、こうあるべきという状態で実際にショーケースに並んでいるのを見るのは本当にときめきました。
2日目と3日目は一番近くのパン屋さんへ。
シューケットはクリームなしのプチシューで、皮の外側にパールシュガーがまぶしてあります。
これは自分でもよく作っていたのですが、ちゃんとパールシュガーを使うと一層可愛いし食感もいいな~と勉強になります。
適度な甘さで外側カリッ、中ふわしとなので、何個でも食べられる?
このシューケット、朝はかごに大量にあったけど、夕方再びおやつを買いにいったら売り切れだったので人気なんでしょうね。
そのときかわりに買ったマカロンも美味しかったです。
くるみのタルトレットは、サクサクのタルト生地にくるみがぎっしり。
あぁ、これぞくるみのタルトレット!です。
アメリカにも一見似ているお菓子、ピカンパイがありますが、あの表面だけピカンが敷き詰められフィリングがぐにょぐにょ甘すぎるパイにつきあいで口をつけるのはもう辞めようと思った瞬間でした。
嬉しかったのは、クレープも売られていたこと!
その昔お菓子の本で読んだ「クレープはこんな焼き模様がついていないといけません」と超上から目線で書いてあった一文どおりの焼き模様がついています。
このクレープはそのまま食べるとお砂糖がザラザラしているのですが、オーブンで焼くと、お砂糖が溶けて美味しそうな焦げ目がつきました。(写真はオーブンで焼く前です)
ほかにハムと野菜を小さめのバゲットにはさんだサンドイッチも。
サンドイッチはスモークサーモンとルッコラ、クリームチーズの組合せも、どのパン屋さんにもある定番のようでこちらも美味しかったです。
ミニキッシュも充実していました。
La Baquette Sedaine
7 Rue Sedaine, 75011 Paris, France
ワイン屋さん
連れの男子1名が風邪でしんどそうな夜、折角キッチンがついているのでフランスの食材を使って料理してみることにしました。
と、やる気満々だったのですが、あいにくその日はフランスの祝日で開いているスーパーが限られていました。
唯一近所で開いていたオーガニックの食材専門店で手に入った材料で作ったディナーはこちら。
ステーキは牧場で牛を育てた人の顔写真つきのパッケージ入り。
お肉の部位は忘れましたが、とても柔らかい赤身のみのステーキでした。
焼き加減はレア。
そこにタプナードを添えました。
マッシュルームのラビオリと野菜のポタージュは温めるだけの出来合いのものです。
アリコベールと呼ばれるグリーンビーンズは、アメリカで読んだ料理本にはフランスでは細くて小さいものが良しとされると書かれていましたが、お店にあったのはアメリカのより立派に長く育ったものばかりでした。
帰り道で通りかかったワイン屋さんで、高級そうなボトルに混じって6ユーロ台のボトルもウインドウにあるのが目につき、入ってみました。
お店の中は外から見るより広く、ワインがぎっしり。
お店の奥に座っていたスーツを着た男性がすぐに立ち上がって出迎えてくれました。
彼の流暢な英語にほっとしたわたし(スーパーもパン屋さんもフランス語オンリーだったので?)のリクエストは、赤ワインで安くて、フルーティーだけど甘くないもの。
(それにしても…「安くて」とかダイレクトすぎて我ながら残念すぎますね…今夜のメニューを言って合わせてもらえばよかったのに…。)
「ライトとヘビーだとどちらがいい?」と聞かれたのでヘビーな方をお願いすると、南フランスのこれがいいでしょうとボトルを持ってきてくれました。
お値段7ユーロ。
折角なので少し世間話などして、ボトルを抱えアパートに帰りました。
ワインは、南フランスの太陽をたくさん浴びた葡萄を彷彿とさせるお味でした。
太陽をたくさん浴びてるといっても、アリゾナのソノイタ地区のワインのような強烈すぎる太陽を散々浴びた力強さとは違う、もっと透明感のあるかんじで、その夜のステーキとよく合いました。
ご近所カフェ Café de L’Industrie
パリ最後の夜ごはんは、これまた歩いて1分、というかアパートの敷地ともつながっているカフェへ。
ここは夜2時まで開いているので、夕方までフルで遊んでそれから少し寝てシャワーを浴びてもまだごはんが食べられるのが素晴らしい。
それに日替わりのメニュー(Plats du Jour)があるのも嬉しいですね。
その夜頼んだのはエスカルゴ(Six escargots de Bourgogne)とブフ・ブルギニョン(Bœuf bourguignon)。
ワインはこの旅行でとても気に入ったコート・デュ・ローヌ(Côtes du Rhône)をグラスで。
エスカルゴはリヨンのポール・ボキューズで食べたものがあまりにも素晴らしかったので、庶民派の味はどうなのか食べてみたかったのです。
殻から取り出したエスカルゴがパセリバターで焼いてあるのですが、とにかくパセリがぎっしり!
わぁ!こんなにパセリが入るんですね。
にんにくは風味付け程度で、あまり主張しません。
バターも少な目で、断然パセリとエスカルゴを食べる料理というかんじです。
ポール・ボキューズでも思ったことですが、わたしがアメリカで作っていたエスカルゴバターはにんにく入りすぎ…間違っていたようです。
このエスカルゴ、美味しくて気に入りました。
ブフ・ブルギニョンは牛肉の赤ワイン煮込みです。
お肉はすね肉だと思いますが、フォークで崩れるほど柔らかく煮込んであります。
にんじんが甘~い。
マッシュルームもたくさん入っていて、牛肉と合います。
エスカルゴもブフ・ブルギニョンもソースが美味しく、一緒に出てきたパンに染み込ませてソースまで完食しました。
Cafe de L’Industrie
16 Rue Saint-Sabin, 75011 Paris, France
Tripadvisor のレビュー
帰国後、この夜頂いたブフ・ブルギニョンを再現してみました。
ブフ・ブルギニョン(牛肉の赤ワイン煮込み)レシピ
おわりに
いかがでしたか?
アパート滞在は、ホテル滞在と比べると、到着時間に制限があったり、朝食を自分で手配しないといけなかったり、もし何か部屋のものが壊れたときにすぐに対処してくれるかわからなかったりと、ホテルにはない不便な点も多少はあります。
でも、こんなアパートに泊まって、住んでいる人たちの暮らしぶりを垣間見ながら滞在してみるのも楽しいですよ。
そして、できればフランス語が話せるとなおさら楽しいでしょうね!