フランス旅行記・パリのチョコレート屋さんめぐり最終回は、マレ地区にあるル・ショコラ・アラン・デュカスの工場に併設されたお店を訪ねてみました。
なぜか気になったル・ショコラ・アラン・デュカス
2020年3月のこの旅の帰国日は土曜日で、チョコレート屋さんめぐりが可能だったのはパリ滞在中の木曜日か金曜日のどちらかでした。
結果的に、木曜日の午後にジャック・ジュナン氏とパトリック・ロジェ氏のお店に行ったのは大正解でした。
というのは、金曜日の朝、パリのホテルで目を覚ますと、新型コロナを巡る情勢がガラリと変わっていたからです。
木曜の夜、ヨーロッパがまだ眠っている間に、トランプ大統領がコロナ危険区域からの飛行機の乗り入れ制限を土曜日から開始すると発表したのです。この発表を受けて、金曜の早朝からヨーロッパの空港は大混乱に陥っていました。
わたしの携帯にも、航空会社から「土曜出発の帰国便の一部がキャンセルになったので変更してください」というメールが届いていました。でも、オンラインも電話も全然うまくいきません。
アメリカに入国する資格はあるので確実に入国できることはわかっていたのですが、なにせ飛行機に乗れなければ帰れません。しょうがないので、素早くパッキングして、帰国便の状況次第では一日早く帰国になることも覚悟でシャルルドゴール空港に向かいました。
幸いなことに、航空会社のカウンターで翌日搭乗可能な便を見つけてもらい、変更手続きを済ませて、再びパリのホテルに戻ったのです。
空港からパリへの電車に揺られながら、パリに戻ったら、もう1軒チョコレート屋さんに行こうと思っていました。
というのは、前日グーグルマップでチョコレート屋さんを検索したとき、「アラン・デュカス」というお店がたくさんヒットしていたのです。
恥ずかしながら無知なわたしは、こんなにたくさん店舗があるなんてチェーン店っぽいし、ホテルから歩くルート的にジャック・ジュナンとパトリック・ロジェとは違う方向だからという理由でパスしていました。
でもね、何か気になっていたんです…。
下手したら消えたかもしれない最終日1日が手元に戻ってきたことだし、折角だからアラン・デュカスにも行ってみよう!
ホテルに戻って、優しいスタッフのみなさんにおかえりなさいと迎えてもらい、荷物を置いてル・ショコラ・アラン・デュカスへ出かけました。
ル・ショコラ・アラン・デュカス
到着するなり、あぁ、ここはパスしなくてホントに良かったと思いました。
というのも、今回訪ねたバスティーユのアラン・デュカスのお店は工場併設だったので、門をくぐる前から、辺りは甘やかなチョコレートの香りに満ち溢れていたのです。
ちょっと想像してみてください。
室内ではなく青空の下、大気中に漂う甘い幸せなチョコレートの香り…。
チョコレート好きなら誰もが、その空気を吸った瞬間に間違いなくチョコレートハイです。
幸福感に浸りながら、重い金属製のドアを開けてお店の中に入ってみます。
店内は工場設備を改装したのでしょうか、高い天井に工場らしいパイプが通っています。そしてそのパイプの無機質さとは対照的に、こげ茶のウッド使いが素敵なインテリアで、なんだかとても落ち着く空間です。
貝殻や蟹、松ぼっくりなど、アラン・デュカスのチョコレートのフォルムには独特の世界観があり、子どもの頃の、たとえば海辺で過ごした夏の記憶などを思い起こさせるようなノスタルジーが感じられました。
わたしが最初に選んだのはお魚シリーズのミルクとダークのセット(2020年3月の値段は16ユーロ)です。
パッケージのデザインと、箱の中にダークとミルクチョコレートの魚たちが並ぶ様子は、どこかエッシャーのだまし絵を思い出させます。
このチョコレートは中に詰め物のないソリッドなチョコなのですが、ダークもミルクも、あまりの美味しさに唸りました。
思うに、パトリック・ロジェも、パッケージの底一面が板チョコで、箱の中のどれよりも美味しさが際立っていたので、
パリに限らず、ファンシーなチョコレート屋さんではソリッドは絶対にチェックするべきと思いました。
そして、今回のチョコレート屋さんめぐりの真打ち登場!
アラン・デュカスのこのプラリネは、もう本当に絶品です。
蟹や牡蠣、ロブスター、貝殻、松ぼっくり、ベルなどコロンと可愛いフォルムもさることながら、チョコレートの質、プラリネの得も言われぬ味と質感。
プラリネ好きのわたしにとって、一口食べるごとに夢見るような美味しさでした。
写真はミルクチョコのプラリネですが、ダークもありましたよ。
チョコとナッツの組み合わせラブな方、プラリネに目がない方には絶対におすすめです。
それにしても、フランスのプラリネ天国具合は最高ですね!
訪ねたお店:
La Manufacture de chocolat Alain Ducasse
40 rue de la roquette 75011 Paris
ウエブサイト
日本にもショップがありオンラインでも購入可能です。
日本版ウエブサイト
おわりに
「ジャック・ジュナン」「パトリック・ロジェ」そして「ル・ショコラ・アラン・デュカス」と続いたパリ・マレ地区のチョコレート屋さんめぐり、いかがでしたか?
チョコレートだけでなく、3軒それぞれ味もイメージもまったく別モノで、ブランディングのすばらしさに感心しました。
フランスのショコラティエの有名どころはたくさんあるので、他のお店も凄いのでしょうね。
この旅で、わたしは以前なら知らなかったチョコレートの世界を知ってしまいました。
もう元には戻れません。
罪なチョコレート…。
あなたも後戻りできない世界に一歩足を踏み入れてみませんか。
おわり
パリのチョコレート屋さんめぐり(全3回)
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