アヌシー Annecy はリヨン近郊の美しい湖の街です。
この記事では、フランス到着2日目、パリからリヨンへ移動した際に立ち寄ったアヌシーでの時間を綴ります。
OUIGO の格安鉄道チケットでパリからリヨンへ
フランス到着の翌朝、早朝のパリ・リヨン駅から、前回も使ったOUIGOに乗ってリヨン空港駅へ向かいました。
なぜまたリヨン空港駅かというと、パリ―リヨン空港間は、リヨンの主要駅(リヨン・ペラーシュ駅またはリヨン・パールデュー駅)に行く路線より格安のチケットが見つかるからなんです。
今回もひとり片道10ユーロ台とお安くゲット。
ただしその日格安だったのは早朝7時台か午後の1便だけで、値段は曜日や時間帯、予約状況によってバラつきがあります。
パリにはこの旅の後半でまた戻ってくるので、リヨンでゆっくりしようと朝早い電車を選択。
駅でクロワッサンとコーヒーを買って、水色とピンクのデザインのOUIGOの電車に乗り込みました。
参考までに、わたしがフランスの鉄道チケットを探すのに利用したウエブサイトはこちら:
そして、携帯にOUIGOのアプリをダウンロードして、現地での予約購入に利用しました。
リヨン空港駅
リヨン出身の「星の王子さま」の作者アントワーヌ・ド・サン・テグジュペリにちなんで名づけられたリヨン・サン・テグジュペリ空港。
建物の中には星の王子さまのイラストが一面に書かれたガラスの壁があり、星の王子さまファンでなくとも、通り過ぎながら思わず和んでしまう一角となっています。
参考記事:「大切なものは目に見えない 」 星の王子さまに学ぶものの見方| リヨン・サン・テグジュペリ空港
空港の建物はスペインの建築家サンティアゴ・カラトラヴァ氏によるものです。
彼のスタイルである「骨や翼を組み合わせたようなフレーム(ウィキペディアより引用)」は、建築ファンの方のみならず一見の価値アリ。
普段は近代建築より旧いものに惹かれるわたしでも、この空港のデザインにはなかなか感じ入るものがありました。
もしリヨン空港駅で時間があったら、ぜひエスカレーターで2階に上がって、カフェのある広場の方向を眺めてみてください。
カラトラヴァ氏の建築スタイルを内側から感じることができると思います。
リヨン空港駅は1階にピアノが置いてあり、2階には仕事や勉強ができるスペースや、一人掛けでゆっくりできる椅子もあります。
待ち時間があるときは2階でくつろぐのがおすすめです。
お腹がすいたら、1階のベーカリーカフェでサンドイッチやマフインなどの軽食もできますよ。
スモークサーモンとクリームチーズのサンドイッチとチキンサラダとハムのサンドイッチ、それにミニサイズのタルトタタンを頂いて、なかなか美味しかったです。
リヨン空港周辺のレンタカーオフィスへは、リヨン空港駅の外のバス乗り場から無料のシャトルバスに乗るのが便利です。
この日は朝9時にはリヨンに到着。
3月初旬でしたが、晴れているけど激寒でした!
リヨン空港からリヨン市内までは車で30分ほど。
お昼ご飯をリヨンで食べるとしてもだいぶ時間があるので、折角だから途中で寄れるところがないかな~(ワイナリーとか?)と検索してみました。
ヒットしたいくつかの街の中に、船のような形の建物が川の中に建っている写真がありました。
これ、なにかしら?
街の名前は Annecy アヌシー。
綺麗な湖の写真もあります。
わぁ? なに、ここ、行ってみたい!
グーグルマップで見てみると、車で1時間ちょっと。
教授も快諾してくれたので、レンタカーオフィスから早速アヌシーの街に向かいました。
美しい湖の街アヌシー
アヌシーに着き、湖のそばの地下に下るタイプの公共駐車場に車をとめ外に出ると、大勢の人がアヌシー湖 Lac d’Annecy のまわりで憩っていました。
パンや野菜の入った手提げカゴを持った人たちもたくさんいます。
ふ~ん、この街の人たちはお買い物はカゴを使うんだ~。
なんだかグルメ雑誌の写真みたいな光景です。
湖の方に行ってみると、水があまりにも澄んでいてびっくり!
凄い!どこまでも水底が見えます!
以前見たレイクタホもそれは綺麗な水でしたが、アヌシー湖の水の透明度はレイクタホを上回る美しさ。
わたしがこれまで見た湖の中でダントツの透明度です。
調べてみると、アヌシー湖はなんでもヨーロッパ一の透明度を誇る湖なんだそうですよ。
そして湖の向こうには雪を頂くアルプスが見えます。
まるで絵葉書のような風景です。
山の方から湖面をつたって吹いてくる風は冷たいけど、陽ざしが柔らかい良いお天気。
そうそう、ポン・デ・ザムール(愛の橋)という名の橋もあります。
この橋の上でキスをすると一生の愛が約束されるという言い伝えがあるそうで、ヴェネツィアのため息橋の言い伝えと似ていますね。
こんな重大事項を、帰国後に知ったわたし…。
ええ、またチャンスを逃しましたよ…。
写真ばかり撮ってる場合じゃなかったんです(泣)。
しばらく湖畔をゆっくり歩いた後、写真で見た川の中の船のような形の建物を見に行くことにしました。
パレ・ド・リル 船の形の宮殿?牢獄?
その日は日曜日だったこともあり、アヌシー湖のそばの公園から旧市街の方へ歩いていくと、さらに人が増えたように感じました。
湖から注ぐチオウ川 Thiou は、その日お天気が良かったので山の雪が解け出しているのでしょう、ものすごい勢いで街の方にどんどん流れています。
前回の旅行で立ち寄ったスイスのトゥーンの街中にも湖から川が流れていて、雪解け水が同じような勢いで流れていたのに似ています。
それにしても、水の色が蒼い!!!
そして溢れそうな川の両端には可愛らしい建物が立ち並んでいます。
あ~こういう雰囲気大好き?
あなたもヨーロッパの旧市街がお好きならきっと気に入ると思いますよ~。
お目当ての川の中の船の形の建物は川沿いを歩いているとすぐに見つかりました。
この建物、パレ・ド・リル Palais de l’Isle といいます。
英訳名は Island Palace。
島の宮殿といったところでしょうか。
建物の壁にあった英語の説明を参考までに訳しておきます。
アイランド・パレスは、17世紀の記録では「ガレー船の形をした家」と描写されていますが、かつては監獄、裁判所、そして行政センターでした。中世の建築様式で、もっとも古い箇所は年月を12世紀までさかのぼります。その昔、家屋は14世紀にジュネーブ伯爵を迎えるまでは監獄として使用されていました。船の船首の形をした建物は15世紀に建てられたもので間違いありません。16世紀には、裁判所として機能する部屋の設置のため全面的に改装されました。
ふ~ん。
可愛い建物なのに監獄だったんですね~。
このパレ・ド・リル、現在は博物館として公開されています。
わたしは日帰りでしたので見ていませんが、夜ライトアップされた姿もまた美しいようですよ。
あと、旧市街の山の手にはアヌシー城 Château d’Annecy もあります。
アヌシー旧市街のマルシェ
大勢の人でにぎわう狭い石畳の路地を歩くと、どうして手提げカゴを持った人が多いのかわかりました。
その日、旧市街ではマルシェが開かれていたのです。
川沿いの狭い道、橋の上、と入り組んだ路地に出店がずらっと続いています。
ほんの数時間前まで名前さえ知らなかった街が、こんなに綺麗でおまけにマルシェまで出てるなんて?
本当にラッキーとしか言いようがありません。
鶏の丸焼きがアメリの映画に出てきたみたいにゆっくりくるくると回りながらローストされていたり、パンの出店はどこも誘惑度マックス!
オリーブ、チーズ、蜂蜜、サンドイッチ。
たいてい美味しそうなにおいが漂っていますが、ひとつだけ謎の匂い、というか走って逃げだしたくなるような悪臭を放つアフリカ系料理もありました。
(地獄の鍋に見えました(笑))
洋服や、雑貨、おみやげ、ヴェネツィアの仮面を売っているお店もあって、何も買わないで見て歩いているだけでも楽しかったです。
アヌシー国際アニメーション映画祭とヴェネツィアカーニバル
実は水がなみなみと流れるそばに民家が立ち並ぶ様子はちょっとヴェネツィアっぽいな~と思っていたのですが、
それもそのはず、アヌシーはアルプスのヴェネツィアと呼ばれているそうなんです。
で、2月にはヴェネツィアカーニバルも開かれます。
でも建物のスタイルは明らかにフランスなので、フレンチ風味のミニヴェネツィアといったかんじでしょうか。
アヌシーではヴェネツィアカーニバルよりももっと大々的なスケールのイベントもありますよ。
毎年6月に開かれるアヌシー国際アニメーション映画祭です。
この映画祭は世界的に権威のある映画祭で、
かって宮崎駿氏や高畑勲氏など日本人監督も数々の賞に輝いています。
今年2020年のアヌシー国際アニメーション映画祭は、6月15日~30日の間オンライン上映のみの開催予定になっているようですね。
タルティーヌを食べる
石畳の旧市街を大体一周して、そろそろお腹もすいたしリヨンに戻る前にアヌシーでランチを食べることにしました。
マルシェのサンドイッチやパン、チーズなどのほか、建物に入った店舗のテリーヌ、チョコレートなど美味しそうなものが目白押し。
暖かかったらお店で色々見繕って、ついでにワインなぞ調達し、湖畔でピクニックといきたいところですけど、
3月初旬のこの日はなにしろ冷たい風が吹きすさんで寒かったので、どこかお店でゆっくり食べようと入ってみたのがこのお店、Tête de Cochon。
とても小さなお店で、正面のブタさんの絵が目印です。
一見ファストフード的なものしかなさそうな雰囲気なのですが、侮ることなかれ!
このお店、思いがけずグルメなタルティーヌが食べられます。
え?タルティーヌって何って?
タルティーヌとはいわばフランスのオープンサンドイッチ。
言葉の響きからおかずタルトかな?なんて思ってしまいそうですが(わたしだけ?)、
パンにのせる具材の組み合わせを楽しむカジュアルなパン料理です。
ハムやパテ、フォアグラなどをのせた冷たいタルティーヌと、オーブンで焼いた暖かいタルティーヌがあります。
狭い店内に入ると、オーナーさんと思しき背の高い男性が迎えてくれました。
幸い英語オッケー。
窓際の小さなテーブルに座って、まずはビールとワイン。
そして、タルティーヌ登場です。
写真手前が、なす、山羊のチーズ、パプリカのマリネ、オリーブ、そしてハムをのせて焼いたタルティーヌ。
それぞれの具材の味と食感が混じり合います。
そしてこのタルティーヌ、隠し味的に使われているほんのわずかの蜂蜜が絶妙で!
唸りました。
つけ合わせは、マーケットでも目にしたべしゃっと開いた形のレタス(まるでお皿)とグリルした野菜のサラダ。
もうひとつのタルティーヌは、トマトソースベースに数種類のハムととろけるチーズ。
こちらはフランス風ピザトーストといった風情。
どちらのタルティーヌも文句ない美味しさで、窓のすぐ外のマルシェで蜂蜜や野菜を売る様子を眺めながら楽しいランチを頂きました。
Tête de Cochon
5 Rue Sainte-Claire, 74000 Annecy, France
V4XG+84 Annecy, France
+33 6 27 16 77 91
フェイスブックページ
あいかわらず寒い外に出て、店じまいを始めたマルシェの中を元来た道を通って湖の方へ戻ります。
17世紀に建てられた綺麗な教会もありました。
アヌシーを後にする前にもう一度綺麗な湖とアルプスの景色を見納め。
はぁ?
美しいものを見ると心穏やかになりますね。
今回思いつきで行ってみたアヌシーは美しい街で、脚を伸ばして大正解でした。
車の旅はより自由に行動できるのがいいですね。
ではでは、名残惜しいアヌシーを後にして、ゆっくりリヨンへ向かいましょうか。