パンケーキをパンケーキミックスなしで自分で手作りするときに欠かせない材料のひとつに、ベーキングパウダーがあります。
ベーキングパウダーでパンケーキが膨らむしくみを理解して、あなたの手作りパンケーキを上手に焼いてみませんか?
この記事を読んでパンケーキを作ってみたくなったら、わたしがアメリカでいつも作っているパンケーキレシピもぜひ試してみてください。
パンケーキ レシピ|パンケーキミックスなしで美味しくふんわり作るコツ
膨らまし粉
パンケーキをふんわり作るのに欠かせない材料がベーキングパウダーです。
卵やバターを泡立てて空気を含ませるケーキと違って、単純に液体と粉を混ぜて作るパンケーキはそれだけではうまく膨らみません。
そこで俗にいう「膨らまし粉」を加えるのですが、この膨らまし粉には重曹(ベーキングソーダ)とベーキングパウダーがあります。
重曹(ベーキングソーダ)とベーキングパウダーの違い
製菓材料のコーナーで、重曹(ベーキングソーダ)とベーキングパウダーのどちらを買ったらよいのか迷ったことがある方もいるのでは?
重曹はアメリカではベーキングソーダと呼ばれ、炭酸水素ナトリウム(NaHCO₃)でできています。
炭酸水素ナトリウムを加熱すると発生する炭酸ガス(二酸化酸素 CO₂)が食べ物を膨らませるのです。
ただ炭酸水素ナトリウムには食品化学的に弱点があるんです。
重曹の弱点①
まず、苦い。
確かに、以前ベーキングパウダーを切らしていたときにかわりに重曹を使ってパンケーキを作ってみたことがあるのですが、ちゃんと膨らんだけど苦味のある微妙なパンケーキができあがりました。
それに、アイリッシュソーダブレッドなど「ソーダブレッド」と名のついたものは重曹を使っているのでちょっと苦味があるのが特徴ですよね。
重曹の弱点②
苦味の次の弱点は、炭酸水素ナトリウムが弱アルカリ性なので小麦粉の色素を黄色くしてしまうこと。
お菓子の見た目が悪くなってしまうんです。
対策としては、酸性材を加えて炭酸水素ナトリウムのアルカリ度を中和させればいいのですが、
そうすると、保管している間に炭酸水素ナトリウムと酸性材が化学反応を起こしてしまう別問題が発生してしまいます。
そこで、炭酸水素ナトリウムと酸性材が反応しないように、遮断材となるでんぷん質(小麦粉やコーンスターチなど)を加えたものがベーキングパウダーなのです。
というわけで、
重曹(ベーキングソーダ)は炭酸水素ナトリウムのみ、
ベーキングパウダーは炭酸水素ナトリウムに酸性材と遮断材を加えたものです。
ちなみに、ベーキングパウダーの一般的な比率構成は、炭酸水素ナトリウムが30%、酸性剤が30%、遮断剤が40%です。
ベーキングパウダーで食べ物が膨らむしくみ
炭酸水素ナトリウムと、酸性剤、遮断材のでんぷん質でできているベーキングパウダーが水分と反応すると、
まずでんぷん質が遮断材の役割をできなくなります。
すると、炭酸水素ナトリウムと酸性材が反応して二酸化炭素(炭酸ガス)が発生します。
この炭酸ガスで食べ物が膨らむのです。
ということは、材料を混ぜた時点ですでに膨らむ作用が始まっているのですね。
加えて、熱を加えて調理することで炭酸水素ナトリウムが分解されるので、二酸化炭素がどんどん発生しさらに食べ物が膨らみます。
化学式で表すと次のようになります。CO₂ が二酸化炭素(炭酸ガス)です。
2NaHCO₃ → Na₂CO₃ + CO₂ + H₂O
Na₂CO₃ → Na₂O + CO₂
ベーキングパウダーを使ってパンケーキを上手に膨らませるコツ
パンケーキの材料を混ぜ合わせたら、二酸化炭素が活発に発生しているうちにすぐに焼くのがふんわり焼き上げるポイントです。
また材料を混ぜるときに生地を混ぜすぎるとグルテンが強くなりすぎ、
折角発生した二酸化炭素が、グルテンでできたぎちぎちの生地の壁を上手く押し上げきれずにふっくら焼けません。
ですので、材料を混ぜるときは、粉っぽさがちょうどなくなったくらいのところで混ぜるのをやめて、混ぜすぎないように気を付けるのも、パンケーキをふんわり焼く大事なコツです。
ちなみに、パン作りは上記のグルテンの壁とイースト発酵を利用して膨らませるので、グルテンが強いほどパンが膨らむ真逆のしくみです。
ですので、パン作りでは生地は捏ねて捏ねて捏ねまくるのが正解です。
パンケーキをふんわり焼くコツまとめ
パンケーキをふんわり焼くコツ
・ 粉類を前もって均一に混ぜておく
・ 材料を混ぜるときに混ぜすぎない
・ 材料を合わせたらすぐに焼く
おわりに
いかがでしたか?
ご紹介したコツは、パンケーキ以外にもベーキングパウダーを使うお菓子すべてに使えますので、ぜひ覚えておいてくださいね ♪