あなたは大勢の前でプレゼンするとき緊張するタイプですか?
国籍、性別問わずプレゼンが怖いという人は大勢いて、fear of public speaking(人前で喋る恐怖)なんて言葉もあるほどです。
ですので、怖いと感じることは自然なことなので何にも恥じることはないんですよ。
とはいえ、緊張するのってストレスですよね?
プレゼンの日はまだ何週間も先なのに、そのことを考えただけで憂鬱になってしまったり。
この記事では、プレゼンで緊張してしまう理由と、緊張しないコツをお伝えします。
あなたがプレゼンなんて全然平気~って人ならこの記事は読まなくて大丈夫。
でも、お仕事で、学校、特に留学先で、何度プレゼンしても緊張する(泣)という人には参考になると思うので、ぜひ読んでみてくださいね。
わたしの体験:アメリカのカレッジで初めてのプレゼン
わたしがアラフォーでアリゾナ州のコミュニティーカレッジ(日本の短大のような2年制のカレッジ)に入って最初のセメスターで取った必修科目に、コンピューターの基礎コースがありました。
ワード、エクセル、アクセス、パワーポイントを学ぶマイクロソフトの回し者のようなクラスで、内容は楽勝でしたが、ひとつだけ難関だったのが、プレゼンでした。
話題はコンピューターに関することなら何でもいいので、パワーポイントを使って10分間プレゼン。
時間は長くても短くても減点対象になります。
もしプレゼンをしなかったら、テストの成績がいくら良くても落第ということでした。
アメリカの大学の授業の初日はシラバスの説明なのですが、プレゼンの日もすでに設定済みで、授業初回からクラスに緊張が走りどよめいていました。
そのクラスの生徒数は24人くらいで、半分くらいが高校卒業したての学生さん、残りは 20代~50代くらいの社会人でした。
さて、プレゼンの日。
まずは、「もう緊張で死にそうだから最初にプレゼンさせてください」と授業前に先生に懇願していた白人の女の子が最初にプレゼンして、緊張からか早口だったけど無事終了しました。
その後も早く終わってラクになりたいから次はわたしにやらせてください、っていう人が数人続きます。
手や声が震えていた人はたくさんいたし、30代くらいのタフそうな男性が、緊張から早い段階で言葉が出なくなり脱落する場面もありました。(彼は軍人さんで、普段は100人以上の部下の前で話すのは全然平気なのに…とこぼしていました。)
わたしは、子どものころからプレゼンに慣れているはずのアメリカのひとたちがこんなに緊張するっていうのが意外でしたね。
そして、ドキドキのわたしの番。
言葉のハンデで喋りで勝負できるはずがないと早々に悟っていたので、話す内容とパワーポイントに命をかけ、ビジュアル重視のスライドで、人間を3Ⅾで解析して型紙を作るファッション系のソフトウエアについて話しました。
喋り終わると教授が点数とコメントを書いた紙をくれます。
点数は100点満点中なんと97点で余裕のA。
そして、こんなコメントでした。
You were obviously nervous!
Visual presentation was fantastic.
-3 because your eye contacts were less than 3 seconds.
ちゃんといろんなエリアに目を向けてアイコンタクトをしていたつもりだったけど、目を見る時間が短かったらしい…。
アイコンタクトはひとり3秒以上と授業中に言われていたのを忘れていたのです。
それにしても、最初のコメントが「緊張しているのがはっきりわかったわよ!」だなんて(泣)
誰が見てもわかるほど緊張してたんだ!と恥ずかしかったですね。
この授業以降、卒業するまでにプレゼンの機会はたくさんありましたが、オーディエンスの数の多い少ないに関わりなく、毎回ものすごく緊張していたのでした。
あなたが緊張する理由
では一体どうしてプレゼンで緊張してしまうんでしょう?
わたしのコラムではときどき脳のおはなしをしますが、今回も犯人はあなたのそのかわいい脳なんです。
あなたの脳にはあなたの祖先がジャングルで猛獣と戦っていた(?)時代からずっと変更されていないプログラムがあります。
そのプログラムのキーワードはサバイバル。
サバイバルとは、生き延びて子孫を残すことです。
ジャングルで生き残るには、常に変化に敏感でないといけません。
もし藪の中でカサカサと何か音がしたら、それは危険な動物が近寄っている音かもしれないから、聞いた瞬間に全力で逃げないと、あなたは獣に食べられてしまうかもしれないのです。
音、色、匂い、温度… あなたの脳にとって「いつもと違うこと」=「危険」なのです。
ですから、あなたを守るのが使命のあなたの脳は、いつもと違う些細な変化にも敏感に反応して、あなたに「恐怖感」というかたちで必死に警告します。
ここでちょっと厄介なことがあります。
あなたの脳の警告プログラムは、プログラミングを始めたばかりの初心者が初日に書いたコードくらい超単純なので、
if UNUSUAL
then FEAR
この2行しかありません。
なので、あなたがジャングルにいようが、警備員が入口にいるビルのオフィスにいようが、そんなことはあなたの脳にとってどうでもよく、何かいつもと違うことを察知すると警告プログラムを直ちに発動させてしまうのです。
で、「プレゼンをする」ということもいつもと違うこととして察知されるので、あなたの脳は
「プレゼン」=「いつもと違うこと」=「危険」⇒ 警告(恐怖感)
をやってしまうのですよ。
ですので、緊張する理由は、脳がいつもと違うことを危険と認識してあなたに一生懸命警告しているからです。
緊張感と恐怖感
ひとが恐怖を感じたときに起こる身体の症状には、
- ドキドキする
- 冷や汗が出る
- 手足が震える
- 顔が青ざめる
- 声が震える
- 言葉が出ない
などがありますね。
では、緊張したときはどうでしょう?
同じではありませんか?
緊張感の正体は恐怖感なんです。
そして、緊張するということは、まだ起こっていないことに対する恐怖を前もって体験しているということでもあるのです。
この場合のまだ起こっていないことは、起こるか起こらないかわからないことで、たとえば、
- 上手く喋れないかもしれない
- スライドやビデオが不具合で上手く作動しないかもしれない
- 観客にウケないかもしれない
…などですね。
ちなみに、起こるかどうかわからないことを心配するのは時間のムダだというのは、あなたならわかりますよね?
プレゼンで緊張しないコツ
1.脳に言い聞かせる
「いつもと違うこと」=「危険」⇒ 警告(恐怖感)
このプログラムを脳から消し去ることは恐らくできません。
では、どうしたらいいか?
あなたが脳に言い聞かせてあげればいいんですよ。
「警告してくれてありがとう。でもここはジャングルじゃないし、猛獣はいないから、わたしは大丈夫。心配しないでね」とやさしく言ってあげるんです。
すると、あなたの脳は「あ、そう言われれば、大丈夫そうね!お騒がせしました。」と落ち着いて、あなたのことをそっとしておいてくれます。
でも、あなたの脳はすぐにあなたが言ったことを忘れてまた警告しちゃうので、その都度必要なだけ言ってあげてください。
ドキドキするたびに、やさしく言ってあげてくださいね。
2.プレゼンの準備、ちゃんとしようね
もうひとつ、超超超基本的なプレゼンで緊張しないコツは、徹底的に準備をして話す内容を頭に入れておくこと。
あなたが準備を怠って、失敗しそうだから緊張しているなら、それは紛れもなくあなたのせいです。
そんなときに脳に大丈夫だよなんて言っても、あなたの潜在意識が準備が足りなくて失敗しそうなことを知っているので、緊張を解くことは恐らくムリでしょう。
だから、プレゼンの準備はしっかりしましょうね。
特にあなたがプレゼンに慣れていないなら、実際に声を出して喋る練習もぜひしておいてください。
この単語ってどこにアクセントあるんだっけ?みたいな言葉が意外とあったりするので、それを前もってネットで確認しておけるし、目で読むだけより内容がしっかり頭に入りますよ。
3.場数を踏んで慣れる
最後に、わたしは試していないので経験から語ることはできないのですが、人前で喋る機会を積極的に作ってどんどん経験することで、慣れて緊張しなくなるとよく言われますね。
たとえば Toastmasters International のクラブに加入して、メンバーの前で定期的にスピーチをするうちに、自分のスピーチのレベルが上がりあまり緊張しなくなったというはなしを聞いたことがありますよ。
ほかにも、Public Speaking のクラスをとるとみんな見違えるほどスピーチが上手になるから、怖がらないでそのクラスをとりなさい、と勧めている教授もいました。
おわりに
いかがでしたか?
プレゼンで緊張しないコツは、プレゼンの準備をちゃんとして、それでも緊張してドキドキしたら、脳を安心させてあげればいいんです。
簡単でしょう?
あと、わたしは大学のプレゼンはいつも緊張していましたが、就職してからのプレゼンは緊張していませんでした。
たぶんそれは、仕事では自分しか話せない自分の分野の話なので内容を完璧に把握していたのと、話を聞く人にわかってほしいという熱意があったからかな~と思います。
言い換えれば、自信と余裕があったんですね。
学生のときのプレゼンはそんな熱意を持つような余裕はなかった…青かったな、わたし。
ではでは、「来週のプレゼン、緊張して今からドキドキする~(泣)」ってときなどに、ぜひ思い出して試してみてくださいね。
特に学生さんは、プレゼンで失敗してもクビになるなんてことはないのだから、じゃんじゃん場数を踏むことをおすすめします。
がんばってね?
英語に興味があるあなたにおすすめの記事
あなたの英語、ダイレクトすぎない?英語が第二言語のわたしたちが覚えておきたいこと
アメリカに住んでいるのに英語の電話を全力で避けていた頃のはなし