カイザーシュマーレンとウィーン風グラーシュは、以前ご紹介したウィナーシュニッツェルとターフェルスピッツと並ぶとてもウィーンらしい料理です。
もしあなたがウィーンに行く機会があればぜひ食べてみてほしいので、今日はこのふたつの料理をご紹介しますね。
カイザーシュマーレン
ウィーンで食べたかったもののひとつがカイザーシュマーレン(Kaiserschmarrn)というパンケーキです。
ウィーンの美味しいものを下調べしていて遭遇したのですが、それまで聞いたことのない名前の料理。
調べてみると、パンケーキといっても普通の丸いものではなくて、引き裂かれてちぎれた形をしていて、なおかつふんわりしているそう。
そこに粉砂糖がふってあり、りんごやプラムなどのフルーツソースと一緒に食べるらしいのです。
これ、朝ごはんに食べてみたい!
そんな野望を持ってウィーン入りした観光2日目。
遅い朝ごはんを食べに入ったカフェのメニューにちゃんとありました。
カイザーシュマーレン?
もちろん注文してみます。
美味しいコーヒーを飲みながら待っていると、カイザーシュマーレンが白いお皿にのって登場。
つけあわせは暖かいプラムソースで、うやうやしく銀色の器に入っています。
早速、粉砂糖がふんわりかかったカイザーシュマーレンにプラムソースをかけて食べてみると…、
パンケーキの外側は焼きたてのフレンチトーストみたいなゆるーいバリア感。
で、中はしっとりふんわり柔らかい。
プラムソースは、ドライフルーツのプラムみたいな凝縮したくどい甘さではなくて、もっとチェリーに近いかんじで、ちゃんとフルーツの酸味を残した甘さです。
日本人にも大丈夫な、甘すぎない甘さ。とてもやさしい味です。重くないのでパクパクいけます。
あぁ?
食べながら思います。
これは家で自分で作るのは難しいかも…。
ねちょっと生焼けっぽくなりがちな生地に思えたのです。
プロが作ったらこれこれ!ってかんじだけど、自分で作ったらなんか違う!となりがちな食べ物じゃないかなぁ?
だからこそ、チャンスがあれば、ウィーンで本場のものを食べておいてほしいと思うのです。
ちなみに、カイザーシュマーレンのカイザーは皇帝という意味。
名前の由来には諸説あるのですが、皇帝フランツ・ヨーゼフ1世のために最初に調理され、彼が気に入っていたのでカイザーの名がついたというのが通説です。
そういえば、ターフェルスピッツもフランツ・ヨーゼフ1世の好物でしたね!
ウィーン風フィアカーグラーシュ
もうひとつ注文したのは、ウィーン風フィアカ―グラーシュ(Wiener Fiakergulasch)。
フィアカーというのは19世紀のウィーンで見られた馬車のことです。
グラーシュはザルツブルクでも食べたのですが、とても美味しかったのでもう一度食べたかったのです。
ちなみに、ザルツブルクで食べたグラーシュはこんなかんじでした。
パプリカの効いたビーフシチューにダンプリングとペッパーのピクルスが添えられています。
そしてウィーン風フィアカ―グラーシュは、これ。
ビーフシチュー部分はザルツブルクのものと大差ありません。
ただし、ウィーン風グラーシュには、目玉焼きと扇形に切り込みを入れたピクルスが添えられるのが定番です。
そして、グラーシュがフィアカーグラーシュと呼ばれるときには、目玉焼きとピクルスのほかに、炒めたウインナーソーセージとブレッドダンプリングかじゃがいもが添えられます。
このウィンナーソーセージ、日本のお弁当の定番たこさんウィンナーみたいだと思いませんか?
ちなみに、ウィンナーソーセージ(Wiener Würstchen)は牛肉と豚肉で作りますが、フランクフルトソーセージ(Frankfurter Würstchen)は豚肉のみで作るのだそうですよ。
さらに、ダンプリングの形が違いますね。
ザルツブルクのものは普通に丸めてありますが、わたしたちが食べたフィアカーグラーシュのものは大きく棒状に作って輪切りにしたような形です。
ところで、二日酔いの朝にはフィアカーグラーシュとビールが効くとか効かないとか。
たしかに、ピクルスが二日酔い対策に有効とか、オランダでは二日酔いの朝にビールを飲むというはなしも聞いたことがありますが、
二日酔いで気持ち悪いときにはたしてフィアカーグラーシュを食べようと思うものなのでしょうか?
現地の方におはなしを伺ってみたいものです!
参考: Fiakergulasch With Sacher Sausages
Café Eiles
今日紹介したカイザーシュマーレンとフィアカーグラーシュは、ウィーン市庁舎 Rathaus 近くのカフェ Café Eiles で頂きました。
オーストリアでわたしが行ったあらゆるカフェの例に漏れず、ウエイターさんがイケメンでとても親切でした?
(注:わたしは肥満率の大変高い国在住のため、美男美女の基準に多少の甘さがあるかもしれません。)
わたしたちがテーブルで地図を広げて見ていると、何かわからないことがあったら何でも聞いてください、とわざわざ声をかけてくれるレベルの親切さでしたよ。
Café Eiles
Josefstädter Straße 2, 1080 Vienna
地下鉄およびトラム Rathaus 駅の近くです。
おわりに
カイザーシュマーレンとウィーン風ファイカーグラーシュ、いかがでしたか?
写真を見ていると、美味しさや香りだけでなく、カフェの様子や、ホテルからカフェまで歩いた記憶(前夜私にからんできたトレンチコート事件のお婆さんも目撃)が、早戻しで蘇ってきて、またウィーンに行きたくなります。
食べ物の記憶にトリガーされる旅の記憶をたどっていくのもいいものですね。