ピサの斜塔へはフィレンツェから1時間ほどで行くことができます。
ピサの斜塔って有名だしやっぱり見ておいたほうがいいんだろうな、とは思いつつ…、傾いている塔を見て、で?それで?と、わざわざ行くべきなのかちょっと迷っていました。
それより時間の限られているフィレンツェに集中したほうがいいんじゃないか、と。
実際ピサの斜塔へ行ってきた感想は…パスしなくて本当によかった!!!
ピサの斜塔は塔だけがぽつんと立って傾いているのではなく、洗礼堂、大聖堂、墓所回廊を含むその一帯がピサのドゥオモ広場として世界遺産に登録されています。
塔を見たらおしまい、ではないのです。
この記事では、ピサのドゥオモ広場でのわたしのおすすめポイントをご紹介して、もしあなたがピサの斜塔へ行こうか迷っているなら背中を押して差し上げます。
[toc]
ピサの斜塔
ピサの斜塔を上ってみる
ピサの斜塔、本当にわかりやすく傾いています。
もともと地盤の不均質なところに建てたことが原因で、塔の南側が沈下しているのです。
数字にするとたった 3.99° と大きな角度に思えないのに、土台ごと傾いているので、実際に中に入ると斜めの床、ちょっと気持ち悪いです。
塔にはエレベーターはなく、 250段以上の狭い階段を上ります。
大理石の階段はひとが通るところはすり減ってつるつるなので、滑らないように気を付けて。
キツかったバチカンのクーポラの階段に比べるとピサの斜塔の階段は楽勝でしたが、その日のあなたの体調次第でのぼるかどうか決めてくださいね。
ピサの斜塔、ぜひ色々な角度から眺めてみてくださいね。
塔がまっすぐに見える角度もありますよ。
芝生のエリアには、ロムルスとレムス:パラティーノの丘とローマ建国神話でとりあげたカピトリヌスの雌狼の彫刻(コピー)もあります。
ピサの斜塔のおみやげのおすすめ
チケット売り場そばの売店の奥で見つけたTシャツに結構いいなと思うデザインがありましたのでご紹介します。
日本人のSサイズの人にもOKなXSサイズもあって、丈は短め。
深めのクルーネックにきつくないキャップスリーブです。
観光地のTシャツはボックス型のユニセックスのものが多いけど、このTシャツは女性用にデザインされた身ごろがスッキリ見えるカットです。
ほかにも色々デザインがあり、袋から出して試着もOKでしたよ。
お値段は€14くらいでした。
大聖堂(ドゥオモ)
ピサのドゥオモは外観も内装も素晴らしい、イタリアのあちこちにあるドゥオモに負けない美しさです。
1272年に完成したこの大聖堂は上から見ると十字架の形をしています。
この大聖堂にはガリレオのランプと呼ばれるブロンズ製のランプがあります。
ガリレオがこのランプの揺れをみて振り子の等時性を発見したと言われているのですが、wikipedia イタリア版と英語版には実際のランプはもっと小さく、現在カンポサントにあるものだと記されています。
詳しくはこの記事内の「カンポサント」の項でお伝えしますね。
絶対に逃してほしくない洗礼堂での音響デモンストレーション
ピサの洗礼堂(Battistero di San Giovanni)はなんだかころんと可愛らしいかたちをしていて、いかにも中世!といったかんじですね。
中は大聖堂に比べるとシンプルですが、ピサを訪れた人にこの洗礼堂で絶対に逃してほしくないもの、それは音響のデモンストレーションです。
洗礼堂の中を見学していると、係のひとがシーーーーッ!!!!と皆を静かにさせます。
そしてひとりの男性が登場。彼は静かに歌い出します。
彼が上に向かって発した音がドームの屋根でバウンスしてゆっくり落ちてきます。
そこに彼が違う音を発して、ふたつの音が二重和音になります。
落ちてきた最初の音は今度は床にバウンスして上昇し、2番目の音は屋根でバウンスして落ちてきます。
そこに彼が3番目の音を発して三重和音になります…。
こんなパフォーマンスは今までに見たことも聞いたこともありません!!!
まるで音が光となって上ったり下りたり、別の音と融け合うのが目に見えるような不思議な感覚に衝撃を受けました。
音響のデモンストレーションは30分ごと(00分と30分)にあるそうです。チケットを買うときにその日の予定を確認してみてくださいね。
ご紹介したビデオでは実際の素晴らしさは拾い切れていないので、ぜひご自分の耳で、目で、肌で神秘的な音の調和を体験してみてほしいと思います。
カンポサント(墓所回廊)
美を表現するフィボナッチ数
わたしが主婦学生時代に好きだったクラスのひとつが Number Theory(数論)で、その中でも特に好きだったのがフィボナッチ数(Fibonacci Number)です。
ほかの〇〇数に比べて式が簡単というのも好きな理由のひとつですが、一番大きな理由は、フィボナッチ数が自然界に存在する美を表現する数字だからです。
数列的には 0, 1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, 89, 144,…と延々と続きます。
この数字は葉っぱ、花びら、枝分かれなど植物に現れる数としてよく見かけられるものです。
逆にフィボナッチ数に入っていない数字は植物界でレアな数字ということになります。
たとえば四つ葉のクローバーはレアなもの故見つかると嬉しいですよね。
フィボナッチ数は映画「ダ・ヴィンチ・コード」にも登場していますよ。
服をデザインするときや写真を編集するとき、少しでも迷ったらフィボナッチ数の比率をあてはめてみると必ずしっくりきます。
そんな毎日お世話になっているフィボナッチ様のお墓がピサの斜塔と同じ敷地内のカンポサントにあると聞いて、行ってお礼をいわないわけにはいきません。
同行者男子ふたりも一応誘ってみましたがフラれたので(笑)、ひとりお墓のあるカンポサントへ行ってみました。
数学者フィボナッチの墓参り
カンポサントに行ってみると、そこは墓地なのに薄気味悪いといった雰囲気とはまったく無縁の清々しい場所でした。
壁のフレスコ画と偉人の彫像がズラリと並び、墓地というよりはまるで美術館のよう。
中庭もあり、緑と建物の白のコントラストが美しく爽やかで宮廷っぽい雰囲気。
第二次世界大戦時の爆撃で屋根と壁画がすべて落ちてしまったカンポサント、今も修復作業が続けられています。
そして、ついに尊敬するフィボナッチ様のお墓登場?
感動です…。
不思議な帽子をかぶってらっしゃるのは、やはりその優秀過ぎる頭脳を守るためなのでしょうね…。
墓標には Insigne Matematico = 著名な数学者と記されています。
ツアーグループが去り、まわりに誰もいなくなったので、しばらくいろんな角度から眺めたりフィボナッチ様を独り占めしていました。
すると…どこからか警備官がやってきて、フィボナッチ様の立像の横にぴたりと立ち、ふたりきりの時間を邪魔しようとします。
邪魔ッ、邪魔だわ、おどき!
心の中で呟いても、不届者、どきません。
とはいえもう散々写真も撮ったし、そういえば同行者男子ふたりも置き去りにしてきたんだったと思い出し、フィボナッチ様のお墓を後にすると、な~んとその警備官が後をつけてくるではありませんか!!!
不審者扱い!?
無礼ぶりにもほどがあるわ!!!
ふと見ると左手に礼拝堂があったので、そこに入ってお祈りします。
「警備官にストーカーされています。どうかお助けを…。」
そして礼拝堂の入口をチラ見すると、入口で仁王立ちでわたしを見張っていた警備官とバチバチっと目が合いました。
そして数秒後、彼はあきらめた様子で舌打ちして(してません)やっとわたしの視界から消えてくれたのでした。
ほっ。
神様ありがとう?
こうして無事フィボナッチ様のお墓参りを終えたのでした。
聖なる土と、リストも感動したフレスコ画「死の勝利」
フィボナッチファンでなくともカンポサントは行く価値のある場所ですよ。
カンポサント(Canpo Santo)は聖なる土地という意味です。
というのも、この建物は12世紀の第三回十字軍遠征の際、ピサ大司教 Ubaldo Lanfranchi が聖地ゴルゴタから船に積んで持ち帰った聖なる土の入った土地のまわりに建っているのです。
聖なる土地に埋葬された遺体は、わずか24時間で白骨化するという伝説があるそう。
ちなみに聖地ゴルゴタはイエス・キリストが十字架に磔にされたとされる場所ですね。
さて、カンポサントの壮大なフレスコ画のひとつに、ブオナミーコ・ブファルマッコ作「死の勝利」(Il Trionfo della Morte)があります。
作曲家フランツ・リストはイタリア旅行中にこの「死の勝利」のフレスコ画を見て感銘し「死の舞踏-「怒りの日」によるパラフレーズ」(Totentanz – Paraphrase über “Dies irae”)を作曲したといわれています。
ガリレオのランプ
大聖堂にあるガリレオのランプと呼ばれているランプは実際にガリレオが見たランプではなく、本物はピサのカンポサントにあるチャペル Cappella Aulla にあるとされています。
とはいえ、ガリレオがどのような状況で振り子の等時性を発見したかという歴史的な記述が残っているわけではないので、真実はわかりません。
確かにフィレンツェのTribuna di Galileoの絵のランプとカンポサントのランプは似ていますが…実際のところどうなんでしょうね?
下の写真のランプは大聖堂からカンポサントに移動されたもの。
興味のある方、カンポサントでぜひ実物を見てみてくださいね。
わたしは見事に見逃しました…。
*Camposanto Monumentale, wikipedia
ピサの斜塔とドゥオモ広場予約方法
オンライン予約購入
世界中から観光客が集まるピサのドゥオモ広場。
特にピサの斜塔は前もって予約購入しておくといいかもしれません。
オンライン購入は Opera della Primaziale Pisana のウエブサイトからできます。
チケットは20日前から1日前(グリニッジ標準時間)までオンラインで購入でき、同じく1日前(グリニッジ標準時間)までキャンセルと時間の変更が可能です。
Visa か Mastercard のデビット及びクレジットカードが使えます。
Tickets からBuy のページに行くとカレンダーがありますので、行きたい日をクリックすると予約手続きに進めます。ピサの塔とその他は別々にカートに入れて最後にまとめてチェックアウトしてくださいね。
参考までに購入手続きのスクリーンショットを貼っておきます。
1. ホームページ → TICKETS → BUYをクリック
2.カレンダーから行きたい日を選ぶ
3. 選んだ日付が日/月/年で表示される。
まずはピサの斜塔の予約から。Tower の欄の緑のFORWARDをクリック。
4.time のドロップダウンメニューで時間と空き人数(vacancies)が表示されるので、希望の時間をクリックし、person(s)に人数を入力したら、一番下の ADD TO SHOPPING CART の緑のボタンをクリック。
5.ピサの斜塔のチケットの日付、時間、人数を確認して間違いなければ左下の緑のADD ボタンをクリック。
6.引き続き洗礼堂とカンポサントのチケットを購入する場合、Baptistery と Camposanto に✔を入れ、同じ欄の緑の FORWARD ボタンをクリック。ピサの斜塔だけの場合は一番下の Show shopping cart のカートのマークをクリックすると8.の画面に飛びます。
7.洗礼堂とカンポサントは時間指定がないので、人数のみを入力し、緑の ADD TO SHOPPING CART をクリック。
8.洗礼堂とカンポサントがカートに入りました。もう一度日付、時間、人数を確認し、Tower と Baptistery-Camposanto の左側のボックスを✔して、左下の緑の ADD をクリック。
9.名前、メールアドレス、(電話番号はオプショナル)を入力し、プライバシーに関する記述を✔して左下の緑のPROCEEDボタンをクリック。
10.支払い画面が開き、オーダー番号(Order code)と金額 Amount が表示されます。金額を確認してカード情報を入力し、左下の PROCEED をクリックするとオーダーが処理されます。
以下は上記予約サイトOpera della Primaziale Pisana に記載されている内容を日本語でまとめたものです。最新情報はウエブサイトで確認してくださいね。
料金(2019/6/19現在)
- ピサの斜塔 €18
- 大聖堂のみなら無料
【洗礼堂、カンポサント、美術館】のうち
- 1つ見る €5 割引 €3
- 2つ €7 割引 €4
- 3つ €8 割引 €5
ピサの斜塔チケット購入時に気を付けること
- ヘルパーに付き添われた身体障碍者の方は無料です。
- 18歳未満のこどもは大人の付き添いが必要です。
- 数え年で8歳未満の子どもは安全上の理由で塔には入れません。
- 指定の時間に遅れると塔に入場できず返金もありません。
- 荷物はロッカーに預けます。
- 塔の見学にはおよそ35分かかります。
- 心臓および筋肉に疾患のある方にはおすすめできません。
- 床は歪んでいて滑りやすくなっています。
- 塔に入る前に金属探知機でのスクリーニングがあります。
大聖堂で注意すること
- 大聖堂は信仰と祈りの場所ですので、ふさわしい服装で入場し(肩や膝の露出していない服装)、静かに慎み深く行動してください。
洗礼堂、カンポサント、美術館
- ヘルパーに付き添われた身体障碍者の方と大人に付き添われた11歳未満の子どもは無料です。
- 大人に付き添われた10名以上の学生グループのチケットは割引になります。
ちょっとはずれのフードトラックのパニーニが安くて美味しい
ピサの斜塔からの帰り道、駐車場(Pisa Tower Parking)を出てほどなく、道路沿いに人だかりがしているフードトラックを発見しました。
ちょうどお昼時だったのでパニーニを買ってみたら、美味しい?
Google Earth の写真でも同じ場所に黄色いトラックが写っているので、ここにこのトラックがいる可能性は高いんじゃないかな、と踏んでご紹介しておきます。
あなたがピサに車で行くときにチェックしてみてください。
わたしはサルシッチャ(生ソーセージ)とストラッキーノ・チーズ(Salsiccia e Stracchino:上の写真一番右)のパニーニにしてみました。
サルシッチャはわりと塩気があって、ストラッキーノ・チーズはモッツァレラチーズっぽいけどもっとクリーミー。
シンプルな組み合わせです。普段お目にかからない食材を試すのは楽しい♪
連れの男子が選んだのは右から2番目のCotto e Salsa Rosa。
こちらはマヨネーズ系のソースで、日本人が好きな味だと思います。とても美味しかったのでおすすめです。
注文してから焼いてアツアツを渡してくれます。ひとつ €2.5 でおなかいっぱいになりますよ。
おわりに
いかがでしたか?
以下、わたしのおすすめポイントのまとめです。
- ピサの斜塔:傾き具合を体感、塔からの眺め
- 洗礼堂:音響デモンストレーション
- 大聖堂:建築物としての美しさと美術品
- カンポサント:フレスコ画「死の勝利」、ガリレオのランプ
6月初旬のこの日は天気予報どおり晴れのち大雨で、途中どしゃ降りになりました。
通り雨なので20分ほどで降りやみましたが、それぞれの建物間の移動は屋根がなく、建物の構造上雨宿りできるエリアも限られるので、旅行用の折り畳み傘などを用意しておくといいかもしれません。
そして、最後にもう一度。
洗礼堂の音響デモンストレーションはおすすめです!