ヴェローナ観光おすすめシリーズ第3弾です。
この記事では引き続き、わたしが見て歩いて素敵だと思ったヴェローナのおすすめスポットをご紹介します。
ヴェローナに行く方、行こうかどうか迷っている方の参考になれば幸いです。
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カステルヴェッキオ
カステルヴェッキオ(Castelvecchio)はイタリア語で古い城を意味します。
お城はゴシック建築で、中世の時代にヴェローナの領主だったスカラ家の重要な城塞でした。
当時は堀に囲まれ、アディジェ川の水を引いていましたが、現在水はありません。
ヨーロッパで見たお城はどれも例外なく山の上のアクセスの悪いところにあったので、平地に建つお城は初めて見ました。
さて、お城の外観はさほどロマンチックではありませんが、橋と塔の胸壁(一番上についているギザギザの部分)が童話の挿絵のようで、いかにも中世!といったかんじですね?
ちなみにギザギザの部分に名前「胸壁」があるということをさっきまで知りませんでした。
胸壁は英語ではmerlonでカステルヴェッキオのもののような形はM-shaped merlonsと表現するのですね。
ちなみにGoogle さまに merlon を翻訳させるとこうなります。
Googleさまはフィードバックしてほしいみたいですが、面白いのでこのままにしておきましょう。
AIで翻訳の仕事がなくなるのは明日とかではなさそうですね^^
あ、はなしがそれました。
弓矢や銃を構えるための小さな窓は銃眼といい(日本の築城用語では狭間)、胸壁に銃眼がついていると狭間胸壁と呼ばれるとか…。
築城用語とか…面白いですね。
アメリカにお城はないのに城フェチになってしまいそうです。
わたしがここに立ち寄ったのは閉館間際の時間で、中に入らなかったのですが、橋は無料で渡れます。
中世の雰囲気抜群の写真スポットですよ。
この記事の下の方にカステルヴェッキオ周辺の歩く観光コースおすすめを載せていますので、アディジェ川沿いをゆっくり歩いてみませんか?
お城の美術館を見る前に読んでほしい優秀な建築ブログ
カステルヴェッキオ城は建築家カルロ・スカルパの改修建築ということで、建築関係の方々のあいだでは有名なようです。
いくつかある建築家目線で見たカステルヴェッキオの記事の中で、これから行かれる方にぜひ読んでほしいものを選びました。(タイムマシンがあったら旅行前の自分に読ませたい)
全部読む時間がなければ、一番最初の記事だけでも読んでおくと、カステルヴェッキオの美術館をぐんと楽しめると思いますよ。
地中海ブログ:カルロ・スカルパ(Carlo Scarpa)の建築その3:カステルヴェッキオ(Castelvecchio):空間の建築家カルロ・スカルパ:ものすごいものを見てしまったパート2
KINASE KAYO ARCHITECTURE LAB:カステルヴェッキオ美術館(イタリア・ヴェローナ)
異端の建築再読:建築再読-F.08 カステル・ヴェッキオ美術館
ガヴィ門
カステルヴェッキオからバス通りを左に進むと、左手に登場するのがガヴィ門(Arco dei Gavi)です。
このガヴィ門、道路ではなく道端にあって、川の方を向いているって、なんだか違和感ありませんか?
実はガヴィ門は一度壊された後、現在の場所に再建されています。
ガヴィ門は1世紀頃に、ヴェローナの当時の有力者、ガヴィ一族が建てた門です。
門にはガヴィ一族の名士を称える文言が刻まれるほか、銘刻からこの門の設計者が Lucio Vitruvio Cerdone であることがわかります。
設計者Lucio Vitruvio Cerdoneはアウグストゥス時代(紀元前27 年~14年)の建築家と誤認されていましたので、ガヴィ門は彼が活躍した正確な時代を示す貴重な資料となっています。
ガヴィ門はヴェローナ市内からメディオラヌム(現 ミラノ)に向かうポストゥミア街道(Via Postumia)上の、当時の市の入口、ボルサーリ門から550m離れた場所に建っていました。
中世の時代には、カステルヴェッキオの時計台やスカラの壁(the scala walls)とともに市のゲートとなります。
ガヴィ門はルネッサンス時代に広く研究・称賛されたヴェローナの古代ローマ遺跡のひとつ。
それなのに、1805年、フランス軍のエンジニアの決定により取り壊されます。
理由は、門があると軍用ラバ隊が通りにくいから。
ラバです。
いくらあちこちに凱旋門がゴロゴロしているとはいえ、古代遺跡をラバの邪魔だから壊すってありえなくないですか?
門に使用されていた石材は、取り壊された後はシッタデラ広場(Piazza Cittadella 現在は駐車場)に積まれ、その後アレーナのアーチの下に放置されます。
それから100年以上経った1932年、ガヴィ門はオリジナルの石材を使って現在の位置に再建されました。
ガヴィ門の再建は、ムッソリーニ指揮下のファシズムのプロパガンダでした。
プロパガンダといえば映画や印刷物などのメディアが主流かと思っていましたが、ファシズム期のイタリアでは建築も意図的に活用され、
Noi Sognamo l’Italia Romana (“We dream of a Roman Italy”) のスローガンを叫びつつ、古代ローマ時代の建築物を再建し、国民を一体化、国威を発揚するための演出に使用したのですね。
かつてガヴィ門が建っていた場所には長方形の灰色の大理石が埋め込まれています。
参考:Roman archway “dei Gavi” in “Piazzetta Castelvecchio” – Verona, http://www.archeoveneto.it/portale/wp-content/filemaker/stampa_scheda_estesa_inglese.php?recid=57
Arco dei Gavi, verona.com, http://www.verona.com/en/guide/verona/arco-dei-gavi/
https://en.wikipedia.org/wiki/Arco_dei_Gavi,_Verona
ボルサーリ門
ガヴィ門から道なりにまっすぐ進むと、ふたつの建物の間に挟まれたボルサーリ門(Porta Borsari)が見えてきます。
来た道はかつてのポストゥミア街道(Via Postumia)ですね。
古代ローマ時代1世紀に造られたとされるボルサーリ門は、シェイクスピアのロミオとジュリエットにも登場します。
On Easter, along the main street near Porta Borsari, going towards Castelvecchio a large group of the Capuleti met some Montecchi and attacked them fiercely, with weapons. Tebaldo, Juliet’s cousin, was amongst the Capuleti. […].
シェイクスピア「ロミオとジュリエット」
イースターの日、ボルサーリ門近くの大通り沿いを、カステルヴェッキオに向かっていたキャピュレット家の面々は、幾人かのモンタギュー家の者に出会い、武器を使って激しく攻撃した。ジュリエットのいとこのティボルトも、そこにいたキャピュレット家のひとりだった…。
ヴェローナを訪れる前にロミオとジュリエットを読んでおくのもいいかもしれませんね。
ヴィットーリア橋
ガヴィ門からボルサーリ門へと続くバス通りを進むと、両端にブロンズ像をたたえる橋があります。
この橋は1931年に造られたヴィットーリア橋(Ponte della Vittoria)。
第一次世界大戦中のヴィットリオ・ヴェネトの戦いでのイタリア軍の勝利を記念して建てられました。
ピエトラ橋とカステルヴェッキオ橋同様、第二次世界大戦中にドイツ軍に破壊され、その後再建されています。
Ponte della Vittoria のPonteは「橋」、della Vittoria は「勝利の」という意味です。
橋自体はピエトラ橋やカステルヴェッキオ橋ほど歴史があるわけではなく、建築視点でも特筆すべきことはなさそうなのですが、注目は橋の入口に立つ4体のブロンズ像です。
ブロンズ像も橋同様戦いの勝利を記念するもので、なるほどよく見ると進撃する兵士、共に戦う天使、腕を天に突き上げて勝利を祝う兵士など、それぞれの像に戦いの勝利というテーマに沿ったストーリーがあります。
ブロンズ像は右岸の2体と左岸の2体それぞれ別々の芸術家の作品です。
左岸の2体(ボルサーリ門の対岸)はカステルボロネーゼのアーティスト、アンジェロ・ビアンチーニ(Angelo Biancini)の作品です。
作者のアンジェロ・ビアンチーニの作品はヴァチカン美術館にも収められています。
右岸(ボルサーリ門側)のブロンズ像2体はヴェローナのアーティスト、マリオ・サラッツァーリ(Mario Salazzari) の作品です。
マリオ・サラッツァーリウェブサイト
ヴィットーリア橋のブロンズ像のミニチュア版もあります。(個人蔵)
マリオ・サラッツアーリ
参考:http://guide.travelitalia.com/it/guide/verona/ponte-della-vittoria/
カステルヴェッキオ周辺の歩く観光コースおすすめ地図
カステルヴェッキオ(Catelvelcchio)周辺の川沿いをちょっと散歩してみませんか?
ボルサーリ門(Porta dei Borsari)からスタートし(地図で赤いマークがついているところです)、ヴィットーリア橋(Ponte della Vittoria)を渡ります。
その際ぜひブロンズ像もチェックしてみてくださいね。
橋からのカステルヴェッキオの眺めもなかなかです。
橋を渡ったら、アディジェ川沿いをカステルヴェッキオに向かって歩きます。
だんだん近づいてくるカステルヴェッキオを眺めながら歩けるし、対岸にガヴィ門も見えますね。
ジェラートなんかを食べながら川沿いでゆっくりするのもいいかも。
カステルヴェッキオで中世の雰囲気たっぷりの橋を渡り、カステルヴェッキオの見学がまだならそのまま中を見てもいいですね。
カステルヴェッキオを出たら左に進むと、左手にガヴィ門(Arco dei Gavi)があります。
そのまままっすぐ進むとボルサーリ門に戻ります。
ルートはループなのでどこから始めてもOK。
このコースにアレーナ・ディ・ヴェローナ(Arena di Verona/Verona Arena)を加えて寄り道するのもいいですね。
上の地図ではアレーナ・ディ・ヴェローナも入れたコースを示していますので、ぜひ参考にしてみてください。
アレーナ・ディ・ヴェローナでオペラとコンサート
ヴェローナにもコロッセオのような古代ローマ時代の円形闘技場があります。
アレーナ・ディ・ヴェローナ(Arena di Verona)です。
今回は数日前にローマでコロッセオを見たのでまぁいいかな?と見にいかなかったのですが、ここでは有名なオペラ祭やコンサートが開かれますので、スケジュールが合えばぜひ体験したいですよね。
オペラフェスティバル情報はアレーナ・ディ・ヴェローナのウエブサイトで確認できます。
ちなみに8月はオペラフェスティバルの真っ最中なんですね!
あぁ行きたい?
下は来年2019年のオペラフェスティバルのスケジュールです。
この中では特にアイーダのトランペットの響きなんて、このアレーナにしっくりきそうですよね?
オペラ以外のコンサート情報はいくつかサイトがありますが、viagogoというサイトが見やすいです。
ヴェローナコンサート情報
アレーナ・ディ・ヴェローナとローマ劇場(Teatro Romano)両方のコンサートが載っています。
2019年5月29日と30日にはエルトン・ジョンのコンサートもありますね!
サッカー セリエAも見てみる?
コンサートに行ったらついでにサッカーもいかがでしょう?
ヴェローナには、ACキエーヴォ・ヴェローナ(セリエA)とエラス・ヴェローナFC(セリエB)のふたつのサッカーチームがあります。
両チームともスタディオ・マルカントニオ・ベンテゴティ(Stadio Marc’Antonio Bentegodi)をホームとしています。
1990 FIFAワールドカップの試合も行われたこのスタジアム、昨日8/18/2018はユベントス対キエーヴォ戦が行われ、クリスティアーノ・ロナウドがセリエAデビューを飾りました。
ニュースでは普段静かなヴェローナが、各地から訪れるユベントスファンで大賑わいだった様子を伝えていますね。
2006年のローマ法王訪問時以来の人出だったらしく、試合のチケットも売り切れ。ロナウドが移籍したことでユベントス新たなファンが急増しているようです。
試合はユベントスの勝ち。スコアは2-3ですので、キエーヴォもホームで頑張ったんですね^^
できればヴェローナに限らず、イタリアのどこかのスタジアムで日本人選手を応援したいところですけど、長友選手がトルコに移籍した今、セリエAに日本人選手がいないんですよね…。
寂しいです。
(追記:2020年現在はボローニャFCで冨安健洋選手が活躍中です!)
ちなみにセリエBのエラスの方がセリエAのキエーヴォより観客数が多いんですよ。
エラスのほうがイケメンがいっぱいなんでしょうか?
ヴェローナって不思議です。
おわりに
いかがでしたか?
次回はヴェローナ食べ歩きのリポートです。
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