ストレスの多い生活でリラックスできないと、イライラしがちで怒りっぽくなり、そんな自分にうんざりしてしまうことがあるのではないでしょうか。
それに、ストレスによる頭痛や肩こり、不眠に悩まされたり、免疫力が下がって風邪をひきがちになったりなど健康面にも影響が出ることがあります。
この記事では、リラックス効果が高いと言われる432Hzや528Hzの音楽を実際に聴いてみた体験談と、432Hzや528Hzがわたしたちに与える影響について、日本と海外の論文から検証してみました。
また、528Hzを含むソルフェジオ周波数と440Hzの標準音についてもあわせてご紹介します。
もし環境が許せば、この記事の中でご紹介している曲のどれかを聴きながら、ゆっくり読んでみてください^^
体験談|432Hzと528Hzの音楽を聴いたわたしに起こったこと
先月、翻訳のお仕事が数本重なり、数日間翻訳作業だけにがっつり集中していました。
翻訳作業中は話し声や歌の歌詞などの言葉が耳に入ってくると、英語の文章を日本語に置き換える脳内作業が滞ってしまうので、楽器のみの曲を聴くようにしています。
そんなときに聴く音楽はいつもならクラシックやジャズが多いのですが、その日は、何かいつもとは違う音楽でリラックスして脳の効率がよくなるようなものがあるのではないかしらとひらめき、「Relaxing music」で検索してみました。
すると、検索結果には瞑想などに使われそうな曲がたくさん上がってきました。
サムネイル(見出しの写真)やタイトルはスピリチュアル色が強過ぎてちょっと引いてしまうものも多かったのですが、中には不思議と惹かれる画像もあったのでクリックしてみると…
…ハマりました^^
この曲、聴き流しているだけで得も言われぬ心地よさ。
ものすごくリラックスして気持ちいい状態になり、安心して仕事がはかどる感じです。
きっとその曲との相性がものすごくよかったのでしょうね。
聴けば聴くほど頭も身体の中もすっきりしていくかんじで、穏やかな気分が続くのです。
長さが6時間もあるので、作業中にちょくちょく手を止めて次のビデオをクリックしなくていいし、コマーシャルが途中に入らないのもありがたい。
すっかり気に入ってしまい、その日はこの曲をずっと聴きながら仕事していました。
そして、1日中あまりにも気持ちよかったので、睡眠にいい曲もあるのではと思い、「Deep sleep music」で検索してみると、こちらもたくさんヒット!
昼間の曲と同じ432Hzのものもあれば、528Hzのものもあります。
折角なので違う周波数のものにしてみようと528Hzのものを聴きながら眠りにつきました。
その夜聴いた曲はこちら↓
すると!!!
翌朝、自然に目覚めると、目がぱっちり開き(寝不足だと瞼が重いですよね)、頭はすっきり、そして身体、特に上半身がいつもよりぽかぽかと暖かく気持ち良い状態になっています。
それに、顔の肌がしっとりして、身体の細胞の隅々まで十分に回復したようなかんじ。しっかり休めた実感がすごい!
朝からとても気持ちよかったので、この日も作業中は前日の昼間聴いた432Hzの曲を聴き続けました。
とにかく自分がリラックスしている状態があまりにも心地よくて、すっかりハマってしまったのです。
その夜は、また翌朝気持ち良い目覚めを体験できるかと思うと、528Hzの曲を聴きながら眠るのが楽しみで楽しみで…^^
眠ること自体が楽しみだなんて、人生初だったと思います。
ソルフェジオ周波数とは
432Hzや528Hzの圧倒的なリラックス効果に驚いたわたしは、何か科学的根拠があるのか気になったのでちょっと調べてみました。
すると、検索結果の中でまず最初に目についたのは、(科学的根拠かどうかはさておき)「ソルフェジオ周波数(Solfeggio frequencies)」でした。
ソルフェジオ周波数はグレゴリオ聖歌の音階などに見られる周波数で、
「The Book of 528: Prosperity Key of LOVE」(邦題「ジョン・レノンを殺した凶気の調律A=440Hz」)の著者レオナルド・G. ホロウィッツ(Leonard Horowitz DMD)博士が、ソルフェジオ周波数を世に広めた人物として知られています。
ホロウィッツ博士の別の著書「Healing Codes for the Biological Apocalypse」によると、
ソルフェジオ周波数はDr. Joseph Puleoという人物が現代において再発見したとされているようですが、このDr. Joseph Puleoの情報は確認することができませんでした。
ソルフェジオ周波数の世間での受け取られ方は、信じる人もいれば怪しいよねと思っている人もいて、科学的な裏付けには欠ける印象です。
スピリチュアル系やヒーリング系のサイトで紹介されている基本のソルフェジオ周波数は次の6つのようです。(以下の説明はhttps://www.naturehealingsociety.com/solfeggio/を参考にしました)
・396Hz 罪の意識と恐れからの解放
・417Hz 変化を促し、難局をリセットする
・528Hz ミラクルとトランスフォーメーション、DNAの修復
・639Hz リレーションシップ、再びつながる
・741Hz 答えを得る、表現する
・852Hz スピリチュアルオーダーへの帰還
上記基本の6つに次の3つもよくつけ加えられているようです。
・174Hz 痛みと緊張の緩和
・285Hz 安全、エネルギー、サバイバル
・963Hz ワンネスとユニティ
また、ソルフェジオ周波数はそれぞれの周波数を構成する数字を足して一桁にすると、最終的に3、6、9のどれかになることでも知られています。
例:
639Hz:6 + 3 = 9 → 9 + 9 = 18 → 1 + 8 = 9
741Hz:7 + 4 = 11 → 1 + 1 = 2 → 2 + 1 = 3
852Hz:8 + 5 = 13 → 1 + 3 = 4 → 4 + 2 = 6
ちなみに3、6、9は科学者ニコラ・テスラのお気に入りだったといわれる数字で、神秘的なパワーがあると信じる人たちもいます。
国際標準音440Hz
前述のホロウィッツ博士は、「The Book of 528: Prosperity Key of LOVE」で「Music Cult Control Through A=440Hz」という章を設け、
A=440Hzを使ったカルト的コントロールが行われているという陰謀論を匂わせているのですが、
この440Hzとは一体何なのでしょうか。
440Hzは、楽器を調律するときに標準とされる国際標準音です。
中央のC(ド)の音のすぐ上のA(ラ)の音を440HzにすることからA440ともいわれます。
とはいえ、どのオーケストラもこの440Hzを採用しているわけではなく、ヨーロッパやアメリカのオーケストラでは440Hzから444Hzまで幅があります。
440Hz、432Hz、528Hzを自分の耳で聴いてみよう
ラの音が440Hzと言われても、普段楽器を自分でチューニングする人でないとピンとこないのではないでしょうか。
そんなときは、下記のリンクで実際に音を聞くことができますよ。
440Hzってこんな音です。↓
https://www.onlinetonegenerator.com/
リンク先で数字を変えると聞きたい周波数の音を聞くことができるので、まずは440Hzを聞いて、その後に441Hz、432Hz、そして528Hzを聞いてみてください。
いかがでしたか?
まず周波数の数字が大きくなると音が高くなることに気づかれたと思います。
そして、440Hzと441Hzの違いはよく分からなかったけど、440Hzと432Hzの違いなら分かったという方が多いのでは。さらに、440Hzと528Hzでははっきりした違いが聞き取れたのではないでしょうか。
432Hzと528Hzのリラックス効果を論文で検証
432Hzのリラックス効果
リラックスできる音楽を検索するとたくさんヒットする432Hz。
何か科学的根拠があるのでしょうか。
調べてみると、全インド医科大学パトナ校(All India Institute of Medical Sciences, Patna)が2019年に発表した研究で、
18歳から40歳までの普段あまり寝つきの良くない男性15人を対象に、432Hzの音楽を聴いて少なくとも1時間半昼寝をしてもらい、好きな時間に目覚めてもらうという実験を行っています。
そして1週間の間を開けて、同じ条件で432Hzの音楽を聴かずに昼寝をしたときのデータと比べた結果、
432Hzの音楽を聴いた時の方がアルファ波(α波)の値が著しく大きくなり、また寝付くまでの時間が平均すると17分ほど短くなっていました。
アルファ派は、目を閉じてリラックスしているときにより多く発生する脳波です。
このことから、432Hzの音楽は睡眠時の脳に大きなリラックス効果を与え、また、それほど顕著ではないとはいえ寝つきを良くする効果もあることがわかります。
ということは、わたしも体感した432Hzのリラックス効果は、研究結果を見てもかなり期待できるようですね!
(出典1)
528Hzのリラックス効果
ではソルフェジオ周波数にも登場する528Hzのリラックス効果はどうなのでしょう。
これについては、528Hzの音楽が内分泌系と自律神経系に与える影響について、順天堂大学が2018年に研究結果を発表しています。
この研究では、26歳から37歳の男性1人と女性8人に、528Hzと440Hzの癒され感のあるピアノ曲をそれぞれ別の日に5分間聴いてもらうという実験が行われました。
そして、音楽を聴く直前と直後、15分後、30分後、45分後に採取した唾液と心電図を分析し、気分の変化の自己申告をもとに、528Hzと440Hzの音楽を聴くと実際にどんな影響があるのかが調査されました。
その結果、528Hzの曲を聴いた後には、ストレスホルモンと言われるコルチゾールの値が下がり、聴き終わって時間がたってからも下がり続けることがわかりました。また、幸せホルモンと言われるオキシトシンの値も上昇が見られました。
一方、440Hzの曲を聴いた後では、コルチゾールの値にはあまり変化がありませんでした。オキシトシンの値は、528Hzの音楽を聴いたときのような大きな上昇ではないものの増加が見られました。
下のグラフはコルチゾールとオキシトシンの分泌量の変化を示したものです。黒い棒グラフが528Hzを聴いたとき、薄い色の棒グラフは440Hzを聴いた時の数値で、横軸の0は音楽を聴く直前、1が直後、その後15分ごとの測定値となっています。
このことから、528Hzの音楽には、たとえ5分間という短い時間しか聴かなかったとしても、聴いた人をリラックスさせ、聴き終わった後もリラックスした状態を持続させる効果があることがわかります。
ということは、ずっと聞きっぱなしでなくてちょっとだけでも効果が期待できるということなので、例えば会社でお昼休みに5分間528Hzの音楽を聴くだけでも効果がありそうですね。
また、ソルフェジオ周波数の著者に陰謀疑惑をかけられている440Hzですが、コルチゾールの値にあまり変化がなかったことからリラックス効果は期待できないようですね。とはいえ、ストレスが増えるということでもなさそうです。
一方、オキシトシンの値はある程度上昇しているので、たとえ440Hzであっても幸せ感を感じさせる効果は少なからずあるということになりますね。
ということは、440Hzを悪者扱いするのは根拠のないことといえるのではないでしょうか。
(出典2)
528Hzに関しては、もうひとつ、テヘラン大学がアルコールのダメージを受けた細胞組織に528Hzの音楽を聴かせるとどうなるのかを調べる研究を行っています。
え~っ!細胞に音楽を聴かせたんだ…?!
世の中にはいろんな研究があるんですね~^^
この研究では、まずアストロサイトという中枢神経系の細胞を胎児から採取して培養し、7種類の濃度のエタノールで処理します。
そして、528Hzの音楽を聴くグループと静かな部屋で過ごす(擬人化してみました^^)グループに分け、
さらに、音楽を聴くグループを80dB、100dB、120dBの3つの音圧レベルに分けます。
そして細胞の生存率や、人がアルコールを大量に飲んだときにアストロサイトで発生して脳にダメージを与える原因になる活性酸素種(ROS)などのデータが分析されました。
すると、528Hzの音楽を聴かせた細胞は、聴かせていない細胞に比べ生存率が高く、ROSの発生も抑えられるという結果になりました。
また、528Hzの音楽を80dBの音圧で聴かせたときに最も効果的であることもわかったのです。
ところで、ここまで細胞に聴かせるという表現を使ってきたのですが、原文では「cells were exposed to the 528 Hz sound wave」と書かれていて、直訳すると「 細胞は528Hzの音波にさらされた」となります。
この研究結果だけを見ると、細胞に耳はないので、音波にさらされるだけで効果があるということですよね。
ということは、たとえ耳が聞えない人でも、その音楽が流れている場所にいて音波を浴びれば、その周波数の持つ効果が期待できるということになりますよね。
そして、耳のない植物などにも同じように影響があるとすれば、
「植物に音楽を聴かせて育てるとより大きな花が咲く」などといったエピソードが、科学的根拠のある事実として具体性を持ってくるのではないでしょうか。
とすると…、
リラックス効果を期待して音楽を聴くときは、ヘッドフォンで聴くよりも、スピーカーで音波を身体全体で浴びるように聴く方が、より一層周波数の持つ効果が高くなるのかもしれません。
(出典3)
プラシーボ効果も味方につけて
もうひとつ、周波数とは関係ないのですが、考慮に入れておきたいのがプラシーボ効果です。
プラシーボ効果とは、「これってすごい効果があるんだ!」と思い込むことで本当に効果が出てしまうこと。
この音楽でリラックスできると心から信じることで、より一層リラックス効果が高まることになれば相乗効果が期待できますね!
まとめ
ここまで読んでいただいたみなさん、おつかれさまでした!
この記事のおさらいです。
・432Hzの音楽を睡眠時に聴くとアルファ波が増えた
・528Hzの曲を5分聴いただけでコルチゾールの値が下がり、聴き終わった後も下がり続けた。またオキシトシンの値が上昇した
・528Hzの音波を浴びた細胞にも効果があった
↓
・432Hzと528Hzのどちらの音楽にもリラックス効果がある
・5分聴くだけでも効果がある
・スピーカーで音波を身体全体に浴びるとリラックス効果が高まる可能性がある
おわりに
いかがでしたか?
わたしにはものすごいリラックス効果と安眠効果もあった432Hzと528Hzの2つの周波数。
興味が湧いた方は、432Hzと528Hzの音楽を毎日の生活に取り入れて、リラックス状態が続く快感を体験してみませんか。
YouTubeなどで「relaxing music 」や「healing music 」、そして「deep sleep music」などと検索するとたくさんヒットしますので、ぜひ相性の良いものを探してみてください。
この記事が、今あなたが抱えるストレスを少しでも軽くするお役に立てば幸いです。
出典
出典1
Dubey, Pramita et al. “Effect of music of specific frequency upon the sleep architecture and electroencephalographic pattern of individuals with delayed sleep latency: A daytime nap study.” Journal of family medicine and primary care vol. 8,12 3915-3919. 10 Dec. 2019, doi:10.4103/jfmpc.jfmpc_575_19
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6924256/
出典2
“Effect of 528 Hz Music on the Endocrine System and Autonomic Nervous System”
written by Kaho Akimoto, Ailing Hu, Takuji Yamaguchi, Hiroyuki Kobayashi,
published by Health, Vol.10 No.9, 2018
https://www.scirp.org/journal/paperinformation.aspx?paperid=87146
出典3
Babayi T, Riazi GH (2017) The Effects of 528 Hz Sound Wave to Reduce Cell Death in Human Astrocyte Primary Cell Culture Treated with Ethanol. J Addict Res Ther 8:335. doi:10.4172/2155-6105.1000335
https://www.omicsonline.org/open-access/the-effects-of-528-hz-sound-wave-to-reduce-cell-death-in-human-astrocyteprimary-cell-culture-treated-with-ethanol-2155-6105-1000335.php?aid=91771
Koala photo by Jordan Whitt on Unsplash
Piano photo by Markus Gjengaar on Unsplash
Hammock photo by Urip Dunker on Unsplash
Speaker photo by Minh Thái Lê from Pixabay